#55 フットサルパワープレー守備 配置による分類

パワープレー

みなさんこんにちは。

前回は特殊局面のパワープレー守備について解説しました。

パワープレー守備の分類としては、配置とスタンスがあるということは解説しましたが、今回は配置の分類の詳細、ダイヤモンド型とボックス型の種類のそれぞれについて解説していきます。

ダイヤモンド型(1-2-1)

まずはダイヤモンド型(1-2-1)です。

前回も少し解説しましたが、ダイヤモンド型は全体がスライドしながら複数人を管理し、Fixoが両角に対応する守り方です。ダイヤモンド型では、前方で人数を合わせ、後方が数的不利になるのが特徴です。

オーソドックスな守り方はダイヤモンド型だと考えます。二度追いすることがあまりなく、それぞれのポジションの役割が似ていることから、導入することが比較的容易だと言えます。

それでは、ダイヤモンド型で守る際の重要なポイントを3つ、それぞれについて解説します。

ボールを中央に入れさせない

1つ目は、ボールを中央に入れさせないことです。

ダイヤモンド型では、ボールホルダーがその中央のパスラインを防ぐように立つことが重要です。

PivoとAlaの選手は中央のパスラインを限定することでゴールも守ることもできますが、角にパスが入ったときにFixoは中央のパスラインを限定するとゴールは守れなくなります。そうすることによってシュートを打たれる可能性はありますが、角度がない状態であるためやむを得ない状況だと考えます。

逆にゴールを守ることで中央のパスラインを空けてしまう場合がありますが、そうなることによって中央の最も危険なエリアからシュートを打たれてしまう可能性がでてきます。

パワープレー守備は1人少ない状況であるため、すべてを完璧に守ることはできないと理解することが必要があります。その中で諦めるポイントを決めることが監督に求められる重要なことだと考えています。

ゴールではなく4人の中央のパスラインを守ることは、角からのシュートまたは中央からのシュートかを選択をしたときに角からのシュートはある程度諦め、GKに対応を任せるということです。

飛ばしのパスをさせない

2つ目は、ボールに対峙していない選手が1つ飛ばしのパスをさせないようにパスラインを切ることです。

ダイヤモンド型では、パスでボールが動くと、4人が常にスライドして対応することになります。その際に飛ばしのパスを入れられてしまうとスライドが間に合わない可能性が高くなります。飛ばしのパスではなく2本のパスでスライドした距離を、1本のパスの時間でスライドしなければならないためです。

忘れがちになることとしては、飛ばしのパスラインは原則2つあるということです。ゴールを挟んだ側の飛ばしのパスもありますので、そのパスラインも限定する必要があります。

角にボールがある際のセカンドポストはタイトなマーク

3つ目は、ボールが角にある際のセカンドポストはタイトなマークが必要であるということです。

ボールが角にある場合は、ボールホルダーに対峙する選手はゴールへのシュートではなく、中央へのパスラインを切ることになります。ゴールに向かってくるボールはGKが対応することになりますが、ゴールの枠を外れたセカンドポストへのシュートパスはGKが防ぐことは難しいということになります。よって、逆Alaの選手がセカンドポストの相手に対してタイトなマークをすることが求められます。

ボックス型(2-2)

次はボックス型です。

相手がどのような配置を取った場合でも基本的には前2人、後ろ2人の配置を取ります。ボックス型では、後方で数を合わせ、前方で数的不利になるケースが多くあることが特徴です。

ボックス型はトレーニングに時間がかかると考えられます。ただし、前2枚のゾーンプレスやカウンターの3対2の守備と類似点はありますので、その共通点を活かすためにボックス型を導入することも検討できると思います。

それでは、ボックス型で守る際のポイントを3つ、それぞれについて解説します。

ボールを中央に入れさせない

1つ目は、ダイヤモンド型と同様、ボールを中央に入れさせないことです。

1列目が同数の場合は、ボールホルダーが中央のパスラインを限定するように立ちます。

パスライン限定で局面数的同数を作り出す

2つ目は、パスラインを限定して局面数的同数を作り出すことです。1列目が数的同数の場合はボールホルダーが中央のパスラインを切るように守りますが、一方で1列目が数的不利の場合は、中央のボールホルダーに対しては一方のパスラインを限定しながら立つことになります。

これにより、1つのパスラインを除き局面4対4の状況を作り出すことができます。

しかし、この場合は中央へのパスラインが空いてしまう可能性があります。そのエリアに相手が侵入してきた場合には、後方の選手はエリアの外に出させるように強いプレスをしなければなりません。

相手の配置によってパスラインを限定する方向は異なりますが、どちらにせよ中央に侵入させないことは変わりません。一方のパスラインを限定してサイドに誘導する方法であれば、中央のパスラインを空けてしまうことはありますが、パスが入ってしまった後にしっかりプレスをかけてまた4人の外にボールを出させることが重要になります。

両角には強いプレス

3つ目は、相手の両角の選手にパスが入った際には強いプレスをすることです。

ボックス型は後方に2人を配置し、それぞれの守るエリアが決まっていますので、ダイヤモンド型と比べて守るスペースが少なく、準備も容易になります。

ボックス型の角では後方の選手と距離が近く、プレスをかけやすくなるため、ここがしっかりプレスをかけて相手の自由を奪うことが重要になります。

必要な選手の特徴

それぞれの配置で、必要な選手の特徴について解説します。

ダイヤモンド型

まずダイヤモンド型では、最も重要なのはFixoです。

Fixoには、スピードがある選手が必要です。Fixoは両角に対して対応しなければならず、常にスライドを繰り返し、一つ飛ばしのパスを出されることもあるので素早いスライドがFixoに求められます。

Alaには、アジリティ能力が高い選手が必要です。動く距離はそこまで長くありませんが、細かいポジション調整が必要になる役割です。また、セカンドポストの相手には密着するところまで動かなければなりませんから、アジリティがある選手が求められます。

Pivoには、認知力がある選手が必要です。Pivoは常にパスラインを切ることが重要になりますので、常に周りを確認しながらパスラインを限定することができる選手が求められます。

Fixo スピードのある選手
Ala アジリティのある選手
Pivo 認知力が高い選手

ボックス型

ボックス型では、前方と後方の2つに役割が分かれます。

前方の選手には、アジリティのある選手が必要です。パスラインを限定しながら徐々にプレスを開始し、時には二度追いも必要になります。細かいステップワークで繰り返しプレスをかけられる選手が求められます。

後方の選手には、カバーリング能力が高い選手が必要です。前方が数的不利になることが多くなりますから、突破されてしまうことも考えられます。そうなった場合には、素早くカバーリングをしてゴールを守ることが求められます。Fixo系の選手が2人配置できることが望ましいでしょう。

前方 アジリティのある選手
後方 カバーリング能力が高い選手

まとめ

今回はパワープレー守備の配置による特徴について解説しました。配置はダイヤモンド型とボックス型の2種類があります。

両者に共通することとしては、中央に侵入させないことです。どちらの配置であっても、その考え方は変わりません。ボールをサイドに誘導し、4人の外側でボールを回させることがポイントです。

一方で両者の違いとしては、前方に数を合わせるか、後方に数を合わせるかの違いになります。それにより求められる選手の役割が異なりますので、適切な選手を配置できるかも重要なポイントになります。

共通点 ボールを中央に侵入させないように守ること
相違点 相手と人数を合わせる場所が前方(ダイヤモンド型)または後方(ボックス型)

また、ボックス型の方がトレーニングにかかる時間は多くなると考えられます。あまり時間がない場合には、ダイヤモンド型を導入する方が良いと考えます。ただし、定位置守備で前2枚のゾーンディフェンスを実施しているチームや、カウンター守備のトレーニングを多くしていて、3対2の守備が得意なチームについてはボックス型が導入しやすいかもしれません。

今回はパワープレー守備の配置の違いによる特徴について解説しました。次回は、スタンスの違いによる特徴、そしてパワープレー守備の採用基準について解説したいと思います。

今回は以上になります。ありがとうございました!

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