#44 ラインカット トレーニングメニュー

定位置攻撃

みなさんこんにちは。

最近は定位置攻撃のラインカット、ボランチについて解説してきました。これからはラインカット、ボランチを導入するにあたって、どのようなトレーニングメニューを実施すればよいか、紹介したいと思います。今回はまずラインカットのトレーニングメニューについてです。

ラインカットやボランチの解説記事は以下をご覧ください!

ラインカットのトレーニングメニュー

導入期のトレーニングメニュー

まずは導入期、すなわち初めてラインカットを本格的に導入する際のトレーニングメニューになります。

この時にはまずはどのような動きをするかということを選手に理解させることが重要ですので、アナリティックトレーニング(反復トレーニング)でスタートするのが良いと思われます。

スクエアパス

最初にスクエアパスを紹介します。ラインカットの動きの習得を目的とします。

このトレーニングは、最低5人いれば実施ができます。パスは四角形の辺に沿って回りますが、パスを出した後にラインカットの動きで間に侵入します。このトレーニングではラインカットの動きの習得のみを目的としているため、ラインカット時にパスは受けません。ラインカットの動きの後に次のパスがされれば、前の位置に戻ります。

ポイントは、相手の前を通って1列目の守備ラインに侵入するようにイメージすることです。マーカーを相手守備者に見立てて、その前から侵入させるようにしましょう。

シュート

ラインカットの動きがある程度習得できた後には、相手なしのシュートでラインカットからゴールを奪う局面の習得です。

ここではワンツーやパラレラ、背後、PIVO当てを動画にしましたが、ラインカットからのシュートパターンをある程度決めて、それを反復することでラインカットからシュートに繋げることを習得しましょう。慣れてきたらプレスはかけずに形だけでも守備者をつけるのも有効です。

成長期のトレーニングメニュー

次には成長期、すなわちラインカットの概要は選手が理解し、試合で使っていくための少し実践的なトレーニングになります。

方向付きポゼッション

次は相手をつけて判断を伴った中でラインカットで突破を狙うトレーニングです。

ルール




・10m×10mの正方形を縦に分割
・4対2のボールポゼッション、3タッチアンダー
・ラインカットで3人目が片方のグリットに侵入しないと逆グリットへ移動できない
・ラインカットで侵入したら3本以内に逆グリットに移動しなければならない
・逆グリットに移動後は誰か1人が移動し、再び2対2の状況からラインカット

局面2対2の状況からラインカットによって数的有利を作り逆グリットへ移動(前進)するトレーニングになります。タッチ数やピッチサイズ(特に幅)はレベルに応じて変更してもらえれば良いと思います。

ウォーミングアップにも使えるようなトレーニングになると思います。ラインカットの概要がある程度習得できた状態のチームにおいてはウォーミングアップで導入することも良いと考えます。

ロンドの目的については以下の記事でも解説しているので、参考にしてください。

3対3+GK

次に3対3+GKで両サイドにゴールを置いた状態でラインカットの現象を作り出すトレーニングです。

ルール

・20m×30mのピッチを3分割し、両ゴールを配置
・全てクリアランスからスタートし、攻撃1人は中央ゾーンのサイドらスタート

このように、初期配置を指定し、クリアランスのオープニングにおけるラインカットを使った攻撃の成長を促すトレーニングになります。ラインカットで1列目まで降りることまでは指定しますが、その後は特に指定はしていません。

ただし、ラインカット後にゴールに進めない状況が起きているときには、シュートまでのパスの本数等に制限を加えることできますが、リアリティがなくなるためあまりおすすめしません。ラインカット後になかなか前進や突破ができない場合は、アナリティックのトレーニング等でもう少しレベルを落としてトレーニングをする方が望ましいと考えます。

また、20m×30mのピッチで構成しているため、よりプレス回避からの前進にフォーカスされたトレーニングになっています。ラインカットよりゴール前でのフィニッシュの局面をトレーニングしたい場合は、20m×20mのピッチで実施することも良いでしょう。

ルール

・20m×20mのピッチを2分割し、両ゴールを配置
・相手陣地側のキックインからスタート

20m×20mのピッチサイズにすることで、正規のピッチで考えると常に相手陣地でプレーしている状態になり、どのようにフィニッシュに繋げるかを習得させるトレーニングに変化させることができます。

成熟期のトレーニングメニュー

次はある程度試合でも使える状況になっている際に、より精度を高めるための成熟期にあるときのトレーニングメニューです。

5vs5ゲーム形式

ルール
 
 
 
・20m×40mのピッチで5対5のゲーム形式
・両サイドから5mの位置に、縦5m間隔で8つに区切る
・攻撃側がサイドレーンからセンターレーンに移動する際には、
 守備者も同じエリアを通って移動しなければならない
 ※センターレーンからサイドレーンの移動時には守備の制限なし

このように、ラインカットのようなサイドレーンからセンターレーンに移動する動きに対しては守備も同様に動かなければならないため、ラインカットを使用することは攻撃側にとっては有利なアクションになります。

仮にそれに対抗して守備者がサイドに引っ張られた場合は、ラインカットを使用せずに逆サイドの背後を狙うことができます。

このように、ラインカットは効果的なアクションにはなるものの、相手のアクションによっては違う選択をしてゴールを目指すことができるようなトレーニングになっています。

成熟期でのトレーニングは、達成したい目的を使えば効果的ではあるものの、判断によって他の選択肢を十分に取れるような、より通常ゲームに近いリアリティのあるトレーニングとすることが良いでしょう。

ラインカットトレーニングメニューまとめ

今回は、ラインカットのトレーニングメニューを紹介しました。選手の習熟度に応じてトレーニングを設計することが重要になります。ラインカットを導入したばかりの時期に最後のゲーム形式を実施しても選手はなかなか成長が難しく、逆にかなり試合でも効果的に使えている段階でより精度を高めるような時期に最初のスクエアパスのようなものは選手には物足りないかもしれません。

トレーニングを行う時期と成熟度に応じて参考にしていただければと思います

それでは今回は以上になります。ありがとうございました!

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