みなさんこんにちは。
これまでF1の前半戦のチーム分析を実施しています。今回は第6回、Y.S.C.C.横浜です。ぜひご覧ください!
以下はこれまでのチーム分析です。併せてご覧ください!
Y.S.C.C.横浜 戦績
まず最初は横浜の9試合の戦績についてです。横浜は2勝2分5敗の勝点8の10位で中断期間に入っています。
節 | 日時 | 相手 | H&A | スコア |
1 | 2024/06/02 | フウガドールすみだ | AWAY | 3○1 |
2 | 2024/06/09 | 湘南ベルマーレ | HOME | 1△1 |
3 | 2024/06/16 | ペスカドーラ町田 | AWAY | 1⚫︎6 |
4 | 2024/06/21 | バルドラール浦安 | HOME | 2⚫︎3 |
5 | 2024/06/29 | 立川アスレティックFC | AWAY | 1⚫︎3 |
6 | 2024/07/07 | 名古屋オーシャンズ | HOME | 2△2 |
7 | 2024/07/15 | バサジィ大分 | AWAY | 1⚫︎3 |
8 | 2024/07/19 | ヴォスクオーレ仙台 | HOME | 2○1 |
9 | 2024/07/27 | シュライカー大阪 | AWAY | 1⚫︎3 |
それでは、具体的に得点や失点の傾向について分析していきたいと思います。
Y.S.C.C.横浜 得点傾向
まずは横浜の得点についてです。
横浜は9試合で14得点で、3チームで並びリーグ最下位となっています。内訳としては、定位置攻撃が7点(50.0%)、セットプレーが2点(14.3%)、トランジションが3点(21.4%)、特殊局面が2点(14.3%)となっています。
横浜の得点傾向としては、まずは1試合平均の得点数が昨シーズンから減少しているという点です。
1試合平均の得点数が昨シーズンの2.85から1.56と1点以上減少しています。その中で4局面の全てで得点が減少しており、全体の得点数の減少が最大の傾向と言えるでしょう。
また、横浜はこれまでサッカー出身の選手が多く、定位置攻撃に特徴のあるチームでした。今シーズンも得点の半分は定位置攻撃であり、その定位置攻撃に強みがある傾向は継続していると言えます。一方でセットプレー、特殊局面についてはリーグ最下位と、得点を挙げられていないことがわかります。
セットプレーでの得点については昨シーズンも多くはありませんでしたが、今シーズンさらにセットプレーでの得点が減少していることは気になる部分でしょう。特殊局面についても、今シーズン矢澤選手や井戸選手を前に上げるGK活用を積極的に採用していますが、なかなかGK活用で得点を挙げられていないことが数字に表れています。定位置攻撃以外の得点パターンを増やしていけるかが今後の鍵になるのではないでしょうか。
また、昨シーズンと今シーズンの得点者を比較します。
これを見てわかるように菅原選手の得点が昨シーズン27試合で18得点から今シーズンは9試合で2得点と減少しています。大学時代からホットラインを築いていた堤選手がしながわに移籍した影響は非常に大きいと考えられます。昨シーズン得点を量産した菅原選手が得点を挙げられるためにどのように構築するかも今後の課題と言えるでしょう。
Y.S.C.C.横浜 失点傾向
次に横浜の失点についてです。
横浜は9試合で23失点で、町田と立川と並んでリーグ6位となっています。失点の内訳としては、定位置攻撃が7点(30.4%)、セットプレーが6点(26.1%)、トランジションが2点(8.7%)、特殊局面が8点(34.8%)となっています。
横浜の失点の傾向としては、特殊局面での失点が多い傾向にあり、トランジションの失点は少ない傾向にあります。
特殊局面については、突出して失点が多い局面はありませんが、パワープレーとGK活用での失点が5失点となっています。
パワープレーでの失点については湘南戦と名古屋戦ですが、ともに引き分けに持ち込まれて勝点を失う形になっています。結果的に、この2試合でパワープレーを守りきれていたら中位に位置していたため、重要な局面と言えるでしょう。
また、トランジションでの失点が1点のチームが4チームありますが、その4チームは浦安、しながわ、町田、名古屋と上位チームであることからリーグ内で見てもトランジションでの失点数は非常に少ない傾向にあると言えるでしょう。
直近3シーズンを比較すると、定位置攻撃と特殊局面での失点が増加し、トランジションでの失点が減少していることがわかります。
それではこれまでのシーズンとの変化や今シーズンの詳細について分析していきたいと思います。
前半戦9試合総括
横浜は鳥丸監督から稲葉監督に交代し、新たなシーズンが開幕しました。チームの主力で日本代表の堤選手がしながわに移籍したことが少なからず影響していることがわかります。それでも、樋口選手や荒川選手を補強し、また違うチームをこれから構築していくものだと考えられます。なかなか現時点ではうまくいってはいませんが、今シーズンのこれまでの戦い方について詳細を解説したいと思います。
得点の減少
これまでの横浜の最大の武器としては、得点力でした。フットサル経験は浅くてもサッカーを長くプレーした選手が多くいて、個の力を武器にこれまで戦ってきました。その中で昨シーズンまで監督を務めた鳥丸監督がフットサルのエッセンスを落とし込み、個だけではなくグループでのプレス回避や攻撃を習得していたように思います。
数字として得点が減少していることについては、まず大きな要因としては多くの選手スタッフが入れ替わったことにあると思います。エース堤選手のしながわへの移籍や田村選手の引退があり、町田から荒川選手、葛飾から高橋選手、日本代表に選出された樋口選手の加入など、主力選手の入れ替えがあり、さらには稲葉監督が新たに就任したことで、多くの変化が求められたシーズンになっています。
また、昨シーズンまで、菅原選手、安井選手、堤選手、高橋響選手で構成される1stセットは非常に脅威で、多くの得点を生み出してきました。少し触れていますが、昨シーズンは菅原選手が18得点、安井選手が9得点、堤選手が9得点、高橋響選手が5得点と、チーム全体の77得点中1stセットで半数以上の41得点を挙げていましたが、一方で今シーズンは菅原選手が2得点、安井選手が1得点、高橋響選手が0得点と、昨シーズン得点を挙げた選手の得点が減少と非常に寂しい結果になっています。堤選手の不在により、サイドでの1対1の減少、菅原選手とのコンビネーションがなくなってしまったことの影響は間違いなくあるものと思われます。堤選手の穴を埋めることは容易ではありませんが、個人的には野尻選手に期待したいと思っています。同じ左利きで攻撃の起点となりパスも突破もできる選手です。これまでは1stセットにも2ndセットにも入ってプレーしている状況ですが、菅原選手とのコンビネーションが深まれば菅原選手の復活にもつながるのではないでしょうか。
個を活かした2ndセット
現段階で得点が減少しているとは言え、今シーズンも個を活かした攻撃を中心にプレーする印象です。特にこれまで活躍が多く見られるのは、新加入の荒川選手や樋口選手を中心とした2ndセットです。開幕当初は様々な組み合わせを試してきていましたが、直近の試合ではこの2選手を同時に起用する機会が増えています。荒川選手と樋口選手は特にフィジカルに優れ、どちらもPivoの位置で起点になることができることが強みです。特に荒川選手は、自身がプレーしている時間帯で14得点中9得点を挙げています。今シーズンでは、荒川選手が横浜の大きな強みになっていると言えるでしょう。
トランジション守備安定の要因
今シーズンの横浜はトランジションにおける1試合平均失点数が2023-2024シーズンの0.59から2024-2025シーズンの0.22と大きく減少しています。この要因としては2つ考えられます。
1つ目は、ボールを奪われた瞬間のアクションが速いということです。ボールを奪われた瞬間に相手ボールホルダーへのプレスが機能していることから、なかなか相手にうまくトランジションをさせていません。逆に相手GKがキャッチした時などはピンチになる場面もありますが、矢澤選手や井戸選手が最終局面でブロックできています。逆に相手としては、ボールを奪った瞬間のプレスを搔い潜ることができればトランジションでのチャンスを作ることができると考えます。
2つ目は、プレス回避がシンプルになっているということです。今シーズンの横浜はPivoの選手が多くいて、Pivoの選手を最前線に配置してプレス回避を行うことが多くなっています。最後尾でのプレーが少なくなっている印象がありますので、最後尾でボールを奪われてトランジションを受ける回数が減っていることが考えられます。相手陣地にボールを侵入させれば、奪われてもボールホルダーへのプレスや撤退スピードが速いことによってなかなか相手にチャンスを作られせていない状況を作れています。定位置攻撃を得意とするチームはトランジションでの失点が多くなることもありますが、この部分での失点が少ないということは良い攻撃を作ることができているのではないでしょうか。あとは定位置攻撃でどれだけ得点を重ねられるかがポイントと言えます。
積極的なGK活用
今シーズンの横浜は、積極的にGKが攻め上がって攻撃に参加するGK活用を実施しています。矢澤選手であっても井戸選手であっても足元に優れたGKですので、遜色なくプレーできます。左サイドでオーバーロードを使って数的有利を作り出すシーンを多く作っています。
ただし、相手にスライドされてうまく対応されている印象です。改善策としては、斜めまたは角から角へのワンタッチパスかと思います。
印象としては、相手にスカウティングされて素早いスライドで左角の選手にプレスをかけるような対応をしているので、特に斜めのワンタッチパスが有効かと思います。それで相手のスライドが遅れるようになってからは角から角へのワンタッチパスが効果的になってくるのではないでしょうか。
今後の展望
現在10位の横浜、武器の攻撃力がなかなか発揮できず、下位に沈むシーズンになっています。今後の対策としては、定位置攻撃の充実とGK活用のパターン増加を目指すことが望ましいと考えます。横浜は長所を活かしていくスタイルだと思いますので、選手個人を活かすような戦いを目指すことで勝点を重ねられる可能性は高まっていくのではないでしょうか。特にPivoの菅原選手と荒川選手の得点力をどのように活かすことができるかが重要なポイントと言えます。菅原選手の新たな相棒として、野尻選手に期待しています。
また、横浜の特徴としては、GKの足元の技術があります。矢澤選手と井戸選手はどちらも攻撃参加が得意が選手ですので、現実的に勝点を獲得していくためにはGK活用のパターンを増やし、得点力アップも短期的な近道になるのではないでしょうか。
いずれにせよ、得点が少ないことは横浜にとって非常に大きな問題だと思いますので、いかに得点を挙げられるかがこの中断期間でフォーカスされているポイントではないでしょうか。
まとめ
個で打開できる選手を揃える横浜ですが、主力選手の入れ替えや監督交代があってなかなか得点を挙げられていない状況で下位に沈んでいます。当面の目標としては残留になると思います。最下位仙台とは勝点差8ありますので現段階では安全圏にいるとは言えますが、ともに下位リーグに進めば直接対決が2回ありますのでまだまだ油断できる状況ではありません。
横浜のスタイルとしては、自分たちの良さをどのように発揮するかが勝敗を左右するように思います。その点からも、今シーズン減少している得点力を改善するため、攻撃の部分に注力することが望ましいのではないかと考えています。
中断明けはまず11位北九州との直接対決になります。北九州との勝点差は4ですので、敗れれば勝点差が1となります。まだ気は早いですが、早期に残留を決め、その中で来シーズンに向けての蓄積ができれば、今シーズンがより意味のあるシーズンになるのではないでしょうか。
それでは今回は以上になります。また次回のチーム分析をお楽しみに!ありがとうございました!
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