みなさんこんにちは。
Fリーグ2024-2025 Div.1は第9節が終了し、中断期間に入りました。W杯のための中断期間ではありましたが、日本はW杯に出場できないため、各チームがしっかりと準備できる期間になります。
今回からは、開幕から9試合のF1各チームの分析をし、後半戦に向けたレビューを解説していきたいと思います。
初回は今シーズンF2から昇格したヴォスクオーレ仙台です!ぜひご覧ください!
ヴォスクオーレ仙台 戦績
まず最初は仙台の9試合の戦績についてです。仙台は開幕から9連敗と、まだ勝点をあげられていません。
節 | 日時 | 相手 | H&A | スコア |
1 | 2024/06/01 | バルドラール浦安 | AWAY | 1⚫︎3 |
2 | 2024/06/08 | 立川アスレティックFC | HOME | 0⚫︎4 |
3 | 2024/06/16 | 名古屋オーシャンズ | AWAY | 2⚫︎12 |
4 | 2024/06/23 | バサジィ大分 | HOME | 4⚫︎7 |
5 | 2024/06/27 | しながわシティ | AWAY | 2⚫︎4 |
6 | 2024/07/06 | シュライカー大阪 | AWAY | 1⚫︎5 |
7 | 2024/07/14 | ボルクバレット北九州 | HOME | 3⚫︎4 |
8 | 2024/07/19 | Y.S.C.C.横浜 | AWAY | 1⚫︎2 |
9 | 2024/07/28 | フウガドールすみだ | HOME | 0⚫︎3 |
それでは、具体的に得点や失点の傾向について分析していきたいと思います。
ヴォスクオーレ仙台 得点傾向
仙台の得点についてです。
仙台は9試合で14得点で、横浜、北九州と並んでリーグ最少失点に沈んでいます。内訳としては、定位置攻撃が6点(42.9%)、セットプレーが3点(21.4%)、トランジションが1点(7.1%)、特殊局面が4点(28.6%)となっています。
F1に昇格した初年度の今シーズン、現在は開幕から9連敗と非常に苦しいシーズンとなっていますが、得点については定位置攻撃が大きな得点割合を占めています。
F2だった昨シーズンの得点傾向としては、トランジションでの得点割合が最も多く33.3%、次に定位置攻撃が30.3%、セットプレー24.2%、特殊局面が12.1%です。
今シーズンと昨シーズンを比較すると、得点傾向が大きく変化していることがわかります。このあたりを中心に改めて詳細を分析していきたいと思います。
ヴォスクオーレ仙台 失点傾向
次に仙台の失点についてです。
仙台は9試合で44失点で、現時点リーグ最多となっています。次に多い北九州が39失点ですが、その次はすみだの30失点と、他のチームと比べても多くなっている傾向があると言えます。失点の内訳としては、定位置攻撃が16点(36.4%)、セットプレーが8点(18.2%)、トランジションが12点(27.3%)、特殊局面が8点(18.2%)となっています。
この傾向から見ると、定位置攻撃での失点割合が高いことがわかります。チーム別の失点数を見ても、定位置攻撃はリーグ最多の失点数となっており、この点が苦戦している要因の一つと言えるでしょう。
また、トランジションでの失点もリーグ最多の失点数となっています。
トランジションでの失点が2番目に多いチームは立川、大阪、大分の7失点であることから、仙台は他のチームと比べて倍前後の失点数となっています。
前半戦9試合総括
仙台は前述の通り開幕9連敗と、F1復帰初年度は非常に苦しいシーズンとなっています。その要因としては、前述の通り得点傾向の変化が非常に大きなものと考えられます。その点について詳しく分析していきたいと思います。
攻略されているゾーンディフェンス
まず一つ目は、F2時代よりもゾーンディフェンスを攻略されている点が挙げられます。仙台は、プレス時に1列目の選手を積極的に維持するゾーンディフェンスを採用していますが、今シーズンそのゾーンディフェンスを攻略されているシーンが多く見られます。ライン間や誘導したい方向と逆サイドを使われ、整っていない状態の守備を強いられる場面を作られている印象です。
特にクアトロと呼ばれる4-0システムを採用する名古屋や立川、すみだ等に対してはそのようなシーンが多く発生してしまっていました。F2ではなかなか攻略されなかったゾーンディフェンスがF1でなかなか機能仕切れていない部分が苦戦の要因であると考えます。
発動できないトランジション
昨シーズンのF2では22得点で全体の3分の1の得点を挙げていたトランジションでの得点ですが、今シーズンでは1得点の7.1%となっており、トランジションで得点できていないことがわかります。前述したゾーンディフェンスが機能しきれていない部分から繋がり、トランジションをなかなか発動できていないことが得点傾向の変化を生み出していると考えています。
まずは昨シーズンのトランジション得点の内訳を示します。
トランジションの種類 | 得点数 | 割合 |
ショートカウンター(相手陣) | 8 | 36.4% |
ミドルカウンター(中央) | 4 | 18.2% |
ロングカウンター(自陣) | 10 | 45.5% |
自陣に引き込んだ場合でも、前からのプレスでボールを奪う場合でも得点を奪えていましたが、今シーズンはなかなかトランジションにうまく繋げられていない傾向にあります。F1に舞台を移した中で現状では守備が思うように機能していないと考えられ、今後の課題になるでしょう。
トランジション守備での失点
示した通り、トランジションでの失点数はリーグトップの12失点で、2番目のチームは7失点であることから、トランジションでの失点がかなり多いことがわかります。この点については、GKが出た後の対応に課題があります。
数的不利の状況になった場合、ある程度ゴールから近い位置で相手にボールを持たれた場合、GKがゴールをあけて対応することがあります。その際に重要なことは、FPの選手が相手にマンツーマンで対応することです。
しかし、GKがボールホルダーに対応したにも関わらずFPがマークにつくことができずに失点しているシーンが多く目立ちます。
実に12失点中6失点がそのような失点になっており、早急に対応が必要な内容と言えるでしょう。
また、プレス回避において最後尾でボールを失い、失点するするシーンも多くあります。12失点中7失点がそのような失点になっていますので、こちらも対策が必要な内容と考えられます。
個を活かした定位置攻撃
仙台の攻撃の中心は、森村選手の個の力と見ています。キープ力や突破力、そして強烈なシュートが相手を脅かしています。実際、定位置攻撃では6得点していますが、その得点時には全て森村選手がピッチに立っており、さらに6得点中5得点が森村選手のドリブルから、1得点がパスから生まれているゴールで、全ての得点に絡んでいます。
森村選手自身は定位置攻撃で得点を挙げられていませんが、明らかに警戒されている中でもフリーになった選手が得点を挙げられていることは相手に的を絞らせず、良い傾向なのではないでしょうか。
今後の展望
現在全敗で最下位のヴォスクオーレ仙台。今後の目標としては、残留を目指すシーズンになると思われます。10位横浜との勝ち点差は8あり、大きな差があることから、意識する相手は北九州です。レギュラーシーズンとファイナルシーズンで2試合ありますが、次の北九州戦までに勝利で逆転できる状況にすることが短期的な目標になるでしょう。
その北九州とは第13節と、早いタイミングでの対戦になります。10節湘南戦、11節町田戦、12節大阪戦のどこかで最低でも1勝したいところでしょう。
中断期間に改善すべきポイントとしては、トランジションです。詳しく解説します。
トランジションを生み出す守備
まずはトランジションを生み出す守備についてです。とは言え、定位置守備はリーグ最多失点となっていますので、まずは失点を減らすためにゴールを守ることにフォーカスすることが重要です。その上で、うまくトランジションに繋げられるかということを目指す必要があると考えられます。
その中でポイントは2つです。1つ目は前からのプレスにおいて、ボールホルダーに対して圧力をかけられるかです。ゾーンディフェンスを採用していますので、ある方向に誘導した上で数的有利を作ってボールを奪いたいところですが、その誘導方向と逆、あるいは使われたくないエリアを使われてしまい、守備ラインを下げてしまっている印象です。ボールホルダーへの自由を奪い、自分たちが有利な状況を作れるようなプレスをかけたいところでしょう。
2つ目は自陣深くでボールを奪った際に前線にかける人数とスピードです。F2時代には、自陣深くでボールを奪うロングカウンターのシーンにおいても、相手よりも速く前に進み、ゴール前に侵入する人数が多いことで得点を生み出していました。当然、F1になれば相手のレベルや選手の質は高くなりますが、その武器をどれだけ出せるかがポイントになるでしょう。
トランジションでの失点減少
次のポイントとしては、トランジションでの失点を減らすことです。前述した通り、GKがボールホルダーに対応した際のマンツーマンのエラーをつかれて失点を多く重ねています。森村選手の個の力を活かした定位置攻撃が武器になっていますので、逆にトランジションを受けることも想定されます。その際、自陣ゴール近くでの守備構築をこの中断期間で改善することが重要であると考えます。
まとめ
今回からFリーグ2024-2025 Div.1のチーム分析、初回は今シーズンF1に昇格したヴォスクオーレ仙台について解説しました。
苦しいシーズンとなっている仙台ですが、残留を目指すために攻守ともにトランジションの強化が必要ではないかと考えています。今シーズンは昨シーズンと結果的に特徴の違うシーズンになっていますが、それは望んだものではないでしょう。この3ヶ月で昨シーズンの強みを取り戻し、まずは1勝を掴むことで残留争いもより激化していくのではないでしょうか。
それでは今回は以上になります。また次回のチーム分析をお楽しみに!ありがとうございました!
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