みなさんこんにちは。
これまでF1の前半戦のチーム分析を実施しています。今回は第7回、ボルクバレット北九州です。ぜひご覧ください!
以下はこれまでのチーム分析です。併せてご覧ください!
ボルクバレット北九州 戦績
まず最初は北九州の9試合の戦績についてです。北九州は1勝1分7敗の勝点4の11位で中断期間に入っています。
節 | 日時 | 相手 | H&A | スコア |
1 | 2024/06/01 | 湘南ベルマーレ | HOME | 1⚫︎4 |
2 | 2024/06/07 | ペスカドーラ町田 | HOME | 0⚫︎2 |
3 | 2024/06/16 | バルドラール浦安 | AWAY | 1⚫︎7 |
4 | 2024/06/22 | 立川アスレティックFC | HOME | 2⚫︎7 |
5 | 2024/06/30 | 名古屋オーシャンズ | AWAY | 2⚫︎6 |
6 | 2024/07/07 | バサジィ大分 | HOME | 1⚫︎6 |
7 | 2024/07/14 | ヴォスクオーレ仙台 | AWAY | 4○3 |
8 | 2024/07/21 | シュライカー大阪 | HOME | 2△2 |
9 | 2024/08/02 | しながわシティ | AWAY | 1⚫︎2 |
それでは、具体的に得点や失点の傾向について分析していきたいと思います。
ボルクバレット北九州 得点傾向
まずは北九州の得点についてです。
北九州は9試合で14得点で、仙台、横浜の3チームで並んでリーグ最下位となっています。内訳としては、定位置攻撃が4点(28.6%)、セットプレーが2点(14.3%)、トランジションが4点(28.6%)、特殊局面が4点(28.6%)となっています。
北九州の得点の傾向としては、まず総得点がリーグ最下位と少ない状況です。その中で、定位置攻撃とセットプレーがリーグ最下位となっています。
リーグ全体の中では定位置攻撃とセットプレーに課題があるように見えますが、近年の北九州の戦い方と比較した際には、特殊局面での得点減少が非常に目立ちます。
1試合平均得点でここ3シーズンを比較すると、総得点が0.92点と約1点少なくなっています。特に顕著なのが特殊局面で、1試合0.6点の減少となっており、得点数が減少していることの大きな要因になっています。
特殊局面での得点は4点ですが、内訳は以下の通りとなっています。
パワープレーを受ける機会が少ないためパワープレー返しでの得点はありません。パワープレーをする機会は多いと思いますが、その中で2得点は少ない印象です。その2得点も、立川戦の大きくリードされた状況での得点となり、勝点を生むことはできていません。昨シーズンの北九州はパワープレーで10得点と、リーグ2位の成績になっています。
劣勢の状況であってもパワープレーで状況を打破する展開もありましたし、最後にパワープレーがあるという安心感もあったと思いますので、パワープレーで得点できていない状況はチームとしても苦しいのではないでしょうか。
また、昨シーズンチーム最多得点の18得点の田村選手がしながわに移籍、チーム3位で9得点のクシヤマ選手が怪我で離脱していたということもチームにとっては大きな要素でありました。特にこの2選手は左利きで、パワープレーにおいても重要な役割を果たしていました。昨シーズンのパワープレーでの得点10点のうち、田村選手が3得点、クシヤマ選手が4得点と、この2人で大半を占めています。得点が減少しているパワープレーですが、今シーズン新たに再構築する必要があり、なかなか思うような結果につながっていないのではないでしょうか。
ボルクバレット北九州 失点傾向
次に北九州の失点についてです。
北九州は9試合で39失点で、リーグ2番目に多い数字となっています。失点の内訳としては、定位置攻撃が13点(33.3%)、セットプレーが7点(17.9%)、トランジションが5点(12.8%)、特殊局面が14点(35.9%)となっています。
北九州の失点の傾向としては、定位置攻撃と特殊局面での失点が多いことです。定位置攻撃については13失点でリーグ2番目に多く、特殊局面については14失点でリーグ最多となっています。
特に特殊局面の失点はリーグ2番目に多いチームが8失点と、北九州が他のチームと比較して倍近くなっており、特殊局面の失点が非常に多いことがわかります。特殊局面の失点内訳については、以下の通りとなっています。
14失点のうち、パワープレー返しで6失点、GK活用返しで3失点と北九州が仕掛けた攻撃が失敗して失点するシーンが9点と、これだけでもリーグ最多の数字となっています。特にGK活用返しでは3失点とGKを活用した攻撃が上手くいっていない可能性があります。
3シーズンでの特殊局面失点数の推移は右肩上がりになっており、ここでもパワープレー返しやGK活用での失点が増加していることがわかります。
このデータを見ると、今シーズンは得点についても失点についても特殊局面の影響が大きく出ていると言えるでしょう。
前半戦9試合総括
北九州は今シーズンからは外国籍選手がおらず、クラブ運営の方針も変化したと思われる中での開幕となっています。なかなか勝点を積むことができず開幕6連敗と非常に苦しいシーズン序盤でしたが、最も重要な仙台戦で接戦を制し、次ぐ大阪戦で引き分け、しながわ戦では敗れはしたものの惜敗と内容が良くなってきている印象です。そんな北九州の今シーズンのこれまでの戦い方について詳細を解説したいと思います。
素早い前進を目指す定位置攻撃
北九州は主に2セット構成で試合を進めており、1stセットは浦上選手、玉井選手、宮崎選手、松川選手を中心とするクアトロでプレーし、2ndセットは岡田選手、星野選手、安嶋選手、津田選手を中心とし、津田選手をPivoに置く3-1でプレーをしています。
初期配置は違うものの、どちらのセットも素早く前線にボールを送り込むようなプレーをしています。各セットの特徴について解説したいと思います。
スピードを活かしたクアトロ、相手守備ラインを押し下げたい1stセット
1stセットでは最後尾でボールを保持しながらタイミングを見て松川選手や玉井選手が背後へのランニングによって相手に脅威となっています。ただしうまく背後を取れてはいますが、シュートのタイミングでセグンドやリバウンドポジションの配置をなかなか埋められず、二次攻撃に繋げられていない印象があります。一気に陣地を回復する背後へのランニングは効果的で必要ですが、クアトロの配置でプレス回避を行う上では4人がゴールから遠い距離でプレーすることになるため、もう少し相手の守備ラインを押し下げることも必要かと思います。少し守備ラインを下げるプレーができれば、背後のスペースを活用した際に関わる距離が短くなり、二次攻撃に繋がる回数は増加するのではないでしょうか。
Pivoの活用に加えてスペースアタックを繰り返したい2ndセット
2ndセットでは津田選手や樋口選手といったPivoを配置していますが、Pivoへのロングボールがプレス回避の中心となっています。特に左サイドからバックドアで相手GKとFixoの間にパスを送り込むシーンが多く見られます。2ndセットについては、スペースアタックの回数を増やすことができれば、Pivoの活用にとっても効果的になる可能性が考えられます。第一選択肢はPivoになる場合でも、例えば右サイドのスペースにどんどん人が飛び出していく状況を作ることができればよりPivoを効果的に活用できる可能性は高くなるのではないでしょうか。
前からのプレスとハーフディフェンス
今シーズンの北九州の一つの特徴としては、前からのプレスです。強度の高いプレスによって相手の自由を奪うことができています。一方で、相手に押し込まれた状態になるとラインを下げてしまい、ボールホルダーに対して制限をかけられず、1対1での仕掛けによって失点することも多々発生している状況です。
定位置守備の失点13点のうち、前からのプレスを突破されて失点したのが5点、ハーフに押し込まれた状態で失点したのが8点と、ハーフディフェンスでの失点がやや多くなっています。
また、ハーフディフェンスでの8失点のうち、サイドでの1対1での失点が7失点と、大半がサイドでの仕掛けからの失点になっています。
ハーフディフェンスは抜かれるとゴールに直結する可能性があるため怖さはあるものの、ある一定のラインから侵入させないようにボールにアタックする必要があると考えます。ハーフディフェンスでも相手の自由を奪うことができれば、よりトランジションに繋げられるようになるのではないでしょうか。
特殊局面の傾向の変化
今シーズンの北九州の大きな変化としては、特殊局面です。言及した通り、特殊局面での得点が減少し、失点が増加しているシーズンとなっています。この要因や今後の対応をパワープレーとGK活用に分けて解説します。
パワープレー
今シーズンの北九州は、これまでのシーズンと異なりパワープレーで得点をなかなか挙げられていません。原因の一つには、田村選手が退団し、クシヤマ選手が離脱していたことで左利きが玉井選手しかいなかったことがあると思います。クシヤマ選手が離脱時には、パワープレーでの得点パターンが宮崎選手の仕掛けが多く、相手に警戒されてなかなか得点を奪えなかったと思います。中断前のしながわ戦では、クシヤマ選手が復帰しパワープレーでもプレーしましたが、宮崎選手の仕掛けからのシュートに加え、右サイド奥に位置するクシヤマ選手から中央に折り返す形でもチャンスを作っていたように思います。左利きの選手を2人右サイドに揃えることができるため、パワープレーでの得点パターンも今後増えてくる可能性があるのではないでしょうか。
GK活用
次にGK活用ですが、昨シーズンのゴレイロは伊名野選手と今給黎選手で、ともに足元の技術に特徴のある選手でした。特に今給黎選手はパスを出したあとに自分がゴール前に侵入するプレーもあり、相手にとって脅威となるプレーを見せていました。その2選手に代わり、今シーズンは名古屋サテライトから川上選手、広島から鈴木選手などを補強しており、特に川上選手はボールを持ち出して攻撃に参加するシーンが多く見られます。
とは言え、伊名野選手や今給黎選手ほど得意ではなさそうで、逆にボールを失って失点するシーンやピンチを招くシーンもあります。川上選手はビッグセーブでチームを救う活躍を見せており、攻撃よりも守備に強みのある選手だと思います。GKを上げてプレーする時間帯も状況によっては必要になりますが、そこに固執せずにある程度守備への比重を高めることの方がチーム全体にとっても良いのではないでしょうか。
今後の展望
現在11位の北九州、選手の特徴を活かした特殊局面を武器としていたものの、選手の入れ替わりや怪我があってなかなかパワープレーやGK活用が機能できていません。最下位仙台との勝点差は4ですが、まだ直接対決が2回残っていることもあって安全圏ではありません。降格回避が現実的な目標になってくるかと思いますが、重要なポイントは定位置守備とトランジション攻撃ではないかと考えています。
前からのプレスについてはある程度機能していると考えられますので、ハーフディフェンスの特に1対1の部分をどのように対処するか、またどこでボールを奪って攻撃に繋げるかを強化することが重要だと思います。松川選手や玉井選手のようなスピードのある選手もいますので、トランジションで得点を狙うことも現在のチームの特徴にも合っているのではないでしょうか。特に前からのプレスによって相手ゴールに近い場所でボールを奪い、そのままゴールを狙えるようなシチュエーションを作っていきたいところでしょう。その上で、最終局面ではパワープレーで勝点を拾っていくような戦い方が良いと考えられます。
まとめ
現在11位で最下位仙台と勝点差4となっている北九州。これまで特殊局面への依存度が高かったですが、前からのプレスが新たな武器になる可能性を見出しています。今後は残留に向けて少しずつでも勝点を拾っていかなければなりませんから、安定した守備は必須になります。現状では良いプレスができていると思いますので、この中断期間で守備の質やトランジションへの移行をどれだけ強化できているか注目ポイントと言えます。
中断明けは早速10位横浜との直接対決になります。勝点差が4ありますのでこの試合での逆転はありませんが、最下位仙台との差を広げるチャンスになります。個の力があり定位置攻撃に特徴のある横浜ですので、守備で対抗してトランジションで得点を奪えるかがポイントでしょう。
それでは今回は以上になります。また次回のチーム分析をお楽しみに!ありがとうございました!
コメント