#85 少人数でのトレーニングメニュー(2)

練習メニュー

みなさんこんにちは。

最近はFリーグの試合分析を行っていますが、今回はフットサルのトレーニングメニューの紹介します。以前少人数でのトレーニングメニューを紹介したその第二弾として、5人と6人でのトレーニングメニューを紹介したいと思います。

第一弾については以下の記事からぜひご覧ください。

5人でのトレーニング(GK0人)

まずは5人でのトレーニングです。今回もGKは不在で、FPのみ5名いる場合のトレーニングメニューを紹介したいと思います。

4対1ロンド

まず1つ目は4v1のロンドです。ここでの達成したい成果は「認知力・決断力」です。

グリットの大きさは5m×5m程度のグリットで行うことを想定しています。グリットの大きさはレベルに応じて変更してもらえば良いと思います。

様々な工夫を入れて選手の認知、決断に負荷をかけられるようなロンドにしたいと思います。その発展ルールを紹介します。

タッチ数の制限

まずはタッチ数の制限です。

例えば、1タッチ→2タッチ→1タッチ→2タッチと、パス交換をする中で1タッチと2タッチを交互に行います。もちろんボールを保持する選手たちは守備者にプレスを受ける訳ですから、その中で自分が何タッチしなければならないかを認識しなければなりません。

また、必ず2タッチとすると、相手の距離や寄せ方に応じてどこにボールをコントロールするべきかということを判断させることが可能になります。

使用する足の制限

次は使用する足の制限です。

例えば、右→左→右→左という風に、パスを受ける前の人が使った足を認識しなければならないルールです。このルールではパスを出す側も次の人が出す足を認識して出す必要があります。自分が右足でパスをする場合は次の人の左足側に出さなければなりません。

他には利き足→利き足以外→利き足→利き足以外という風に、パスをする先の選手の利き足も判断しなければならない状況を作り出します。これは左利きの選手が1名以上いる場合には効果的な制限になります。

タッチ数と使用足の制限の併用

また、レベルが上がるとこの両方を組み合わせることもできます。1タッチ→2タッチ→1タッチ→2タッチというタッチ制限の中に、右→左→右→左や利き足→利き足以外→利き足→利き足以外という使用足の制限も加えます。このようにシンプルなルールを組み合わせることによって、選手の頭の回転や認知に負荷を与えることが可能になります。

このトレーニングは、ウォーミングアップに近いトレーニングになることが想定されます。身体的な強度というよりは頭の回転に強度を求めるトレーニングになりますので、ウォーミングアップのようなトレーニングに有効です。

3対2ポゼッション

次は3対2のポゼッションのトレーニングです。ここでの達成したい成果は「定位置攻撃の前進」です。グリットは20m×20mとし、それを10m×10mのグリットに4分割します。

ルールとしては、攻撃側の3人は1つのグリット(10m×10m)には最大2人しか侵入することができません。守備側は自由に動くことができます。

その中で攻撃側はボールを保持するのですが、1つのグリット内で2本以上パスを繋ぐ必要があります。2本以上繋いだ場合に違うグリットに移動することができます。グリット移動は、残った1人にパスをすることも可能ですし、ドリブルや2人でのパス交換での移動でも構いません。守備者の交代は時間で行い、守備者がボールを奪った際には2人でボールをキープすることを求めます。

達成したい成果として「定位置攻撃の前進」としていますが、グリットを出るということが前進と捉えています。ボールがあるグリットに入れない1人をPivoと捉え、Pivoを活用して前進を試みたり、Pivoがいないスペースアタックとして前進を試みたりすることを求めるトレーニングになります。

ただし注意しなければならない点としては、攻撃の方向が決まらないということです。実際の試合よりも選択肢が多くなり、少しリアリティに欠けるということは認識しておく必要があります。

発展としては、移動前のグリットに戻ることができないというルール設定も可能です。そうすることにより、移動できるグリットは2つになります。守備者が限定するパスラインや、Pivoの位置、攻撃者のボールを運ぶ方向等、制限がかかることになりますので、より認知が難しく負荷のかかるトレーニングになると考えています。

2対2+Pivoライン突破

次は2対2+Pivoでライン突破のトレーニングです。ここでの達成したい成果は、「定位置攻撃の前進」です。Pivoを配置してPivo活用またはスペースアタックでの前進を目指します。

ピッチサイズは20m×20mとし、縦に二分割にしたグリットを作ります。そして一方のグリットで2対2とし、逆グリットのライン上にPivoを配置します。

ここでは、2対2をしているエリアを利用するスペースアタックと、逆サイドを利用するPivo活用のどちらかを狙います。

スペースアタックとPivo活用のどちらを利用するにしても、ゴールラインをドリブルで突破することで達成となります。また、Pivo活用をした場合は逆サイドのスペースに侵入することも良いですが、スペース活用をする場合には逆サイドのエリアには侵入できません。つまり、2対2の状況では一方のグリットのみを活用でき、PIvoを活用する場合のみ逆サイドのグリットに侵入することができるルールです。まずが2対2で同じサイドのスペースを狙いながら、逆サイドのPivo当ての選択肢も持つことができます。

2対2+1

次は2対2+1のトレーニングです。ここで達成したい成果は「定位置攻撃の前進」です。その中で、初期配置2-1-1または4-0で、ラインカットやボランチ、3オンライン等が使用できるような設定にしています。

ピッチサイズは20m×30mで、20m×15mの2つのエリアに分けます。その一方のピッチに2対2とし、残った1人は逆のピッチのどちらかのサイドライン上に立ちます。また、進行方向にコーンやマーカーで3つゴールを作ります。

ルールとしては、2対2の状況でパスを2本繋いだら残った1人が2対2をしているピッチに侵入することができます。ここでラインカットやボランチ、3オンライン等を活用して突破を目指します。

+1の選手は自陣でしかパスを受けることはできません。3対2になった後は、ドリブルでハーフラインを突破します。今回はパスで超えることはできないルールとしています。

また、強度を高めるために、突破後のゴールを設定しました。3つのゴールのいずれかをパス交換したことで1点とします。

少し実際のゲームと比較してリアリティは下がるかもしれませんが、突破後の押し上げや撤退の部分を求めることができ、トレーニングの強度を高めることができるでしょう。

6人でのトレーニング(GK0人)

次は6人でのトレーニングです。今回もGKは不在として考えてみたいと思います。

4対2ロンド

まずは4対2のロンドです。これまでロンドのトレーニングで紹介してきたような1つのグリット内で行い、タッチ制限や使用する足の制限のトレーニングについてはこれまでのトレーニングから応用できるため、省略したいと思います。

今回の達成したい成果は、「定位置攻撃の前進」です。10m×20mのグリットを作り、それを10m×10mのグリットの2つに分割します。一方のグリットに攻撃3人が入り、逆のグリットのゴールライン上に1人配置します。

ここで一方のグリットでパスを3本回すと逆サイドに移動できるというルールです。逆グリットにいる選手へのパスでも、ドリブルでも、3人の中の誰かが飛び出してパスを受けても問題ありません。

守備のルールとしては、一方のグリットに2人配置するパターンと、1人ずつ配置するパターンがあります。この違いは攻撃にどのような前進をさせたいかによリます。

一方のグリットに2人配置するパターンとしては、メインは逆グリットにいる選手へのパス供給がメインになるでしょう。

1人ずつ配置するパターンとしては、3人で突破することがメインになるでしょう。ドリブルや2人組の関係で突破し、2つ目のグリットにいる守備側選手も突破することが求められます。

このように、守備のルールを設定して達成したい成果がより出せるように工夫しましょう。

2対2+2フリーマンライン突破

次は2対2+2フリーマンのライン突破のトレーニングです。達成したい成果は、「4-0システムの前進、守備ライン突破」です。

ピッチサイズとしては、20m×20mのエリアを使用し、両サイドから5mのところにマーカーを置き、3つのエリアに分けます。そして両サイドラインにフリーマン2人を配置し、攻撃2人、守備2人とします。

攻撃、守備の2人は20m×20mのピッチのどこに動いても問題ありません。フリーマンは基本的にはサイドライン上でプレーしますが、攻撃側の選手がサイド5mのエリアに侵入してきた時にはフリーマンが中央のエリアに侵入し、プレーすることができます。

ただし、両サイドレーンに必ず1人ずつは配置しなければなりません。つまり、フリーマンが中央に侵入した場合は元々攻撃側の選手はサイドレーンでのプレーが求められます。またフリーマンがサイドに侵入した場合には元々攻撃側でサイドでプレーしていた選手は中央に戻ることが可能になります。

攻撃側の目的は攻撃側はゴールラインをドリブルで突破することで、守備側はボールを奪って相手ゴールラインを突破することです。ただし、原則フリーマンの選手は2タッチアンダーでプレーし、フリーマン自身がライン突破でゴールすることができません。

このトレーニングでは、4-0システムでの前進、突破を狙いますが、フリーマンを上手く活用してラインカットや旋回、またパラレラやワンツー等の2人組の関係も習得できます。

ここでの突破の例を提示しておきます。

このシーンでは、攻撃側の選手がサイドに流れたことによりフリーマンがラインカットで中央に侵入します。飛ばしのパスを出した後にワンツーで突破するようなシーンです。他にも色々な選択肢をとることができると思いますので、試してみてもらえたらと思います。

2+1対2+1

次のトレーニングは、2+1対2+1のトレーニングです。達成したい成果は、「ゴールに向かうアクション」です。

ピッチサイズは20m×20mで、4人が2対2に分かれてピッチに入ります。そしてそれぞれのチームの交代選手が自陣ゴールライン上に待機します。

ルールとしては、お互いに相手ゴールラインの突破を目指します。その中で、自陣ゴールライン上に待機している交代要員の選手にパスを出した時には、その交代要員の選手とパスを出した選手が交代します。同時に、守備側のパスを出された選手に対峙していた選手と自陣側の交代要員と交代します。この時、パスを出された瞬間に自陣ゴールラインにいる守備側選手はピッチに入ってプレーして構いません(タッチ交代は不要です)。

このトレーニングで起こる現象としては、交代要員にパスをした時に、守備側も交代しなければならないため、一瞬ボールホルダー(交代要員)フリーになることです。その時に交代でピッチに入った選手がゴールに向かってプレーすることが重要になります。

ここでのプレーについては、大きく2通り考えられます。

1つ目は、前にいるボールに近い選手が対応してくる場合です。その時に2対1ができますので、元々ピッチにいた選手のポジショニングが重要になります。

2つ目は前にいるボールに近い選手が寄せてこない場合です。この時は交代要員からピッチに入ったボールホルダーがフリーな状況になりますので、ボールホルダーは前に向かってボールを運びます。この時、もう1人の選手はボールホルダーが前にパスを出せる状況になりますので、背後のスペースを狙いましょう。

このトレーニングが実際の試合のどのような場面かと言うと、攻撃側の選手がドリブルで相手をかわした時をイメージしています。近い選手がカバーに出てくれば1つ目のような形になり、近い選手がカバーに出てこなければ2つ目のような形になります。

まとめ

今回は少人数でのトレーニングメニュー第2弾として、GKがいない状況での5人、6人でのトレーニングメニューを紹介しました。3人や4人の時よりはより戦術的なトレーニングを実施することも可能になります。試合で起こりそうな局面を切り取ってトレーニングを行いますが、重要なのは実際のゲームでどのようにその局面を作り、発揮するかということです。5人や6人のトレーニングではゲームをすることはできませんが、ゲームができる時やトレーニングマッチで発揮することを求めること、人数がいる場合にはより試合に近い状況のトレーニングを行うことが重要だと思います。

それでは今回は以上になります。ありがとうございました!

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