みなさんこんにちは。
これまでF1の前半戦のチーム分析を実施してきました。Fリーグは再開しましたが、F1の全12チームについて、中断前の9試合の分析を続けて行います。今回は最後の第12弾、しながわシティです。ぜひご覧ください!
以下はこれまでのチーム分析です。併せてご覧ください!
しながわシティ 戦績
まず最初はしながわの9試合の戦績についてです。しながわは6勝3分0敗の勝点21の2位で中断期間に入りました。
節 | 日時 | 相手 | H&A | スコア |
1 | 2024/06/02 | 名古屋オーシャンズ | AWAY | 4○3 |
2 | 2024/06/07 | フウガドールすみだ | AWAY | 4○3 |
3 | 2024/06/15 | バサジィ大分 | HOME | 6○0 |
4 | 2024/06/21 | 湘南ベルマーレ | AWAY | 4○1 |
5 | 2024/06/27 | ヴォスクオーレ仙台 | HOME | 4○2 |
6 | 2024/07/06 | ペスカドーラ町田 | AWAY | 4△4 |
7 | 2024/07/15 | シュライカー大阪 | HOME | 3△3 |
8 | 2024/07/20 | バルドラール浦安 | HOME | 2△2 |
9 | 2024/08/02 | ボルクバレット北九州 | HOME | 2○1 |
それでは、具体的に得点や失点の傾向について分析していきたいと思います。
しながわシティ 得点傾向
まずはしながわの得点についてです。
しながわは9試合で33得点でリーグ4位となっています。内訳としては、定位置攻撃が9点(27.3%)、セットプレーが8点(24.2%)、トランジションが8点(24.2%)、特殊局面が8点(24.2%)となっています。
しながわの得点の傾向としては、どの局面でもほぼ均等に得点を挙げることができており、バランスが良いという点があります。その中でリーグ内で比較した際にはトランジションでの得点がリーグ2位と多い傾向にあります。
また、その他の局面でも、定位置攻撃が4位タイ、セットプレーが4位、特殊局面も4位タイと、全局面で上位の得点数となっており、相手に的を絞らせない結果になっています。
今シーズンのしながわの得点者を見てみます。
特に目を引くのは東出選手です。東出選手はそこまで長い出場時間があるわけではありませんが、特にトランジションで得点を重ねています。ボールを奪った後に献身的にゴール前に侵入できていることがわかります。
また、新井選手や堤選手といった今シーズン加入した日本代表選手も得点を重ね、チームを引っ張っています。一方で少し寂しいのが、平田選手が前半9試合で無得点であったことです。中断明けの立川戦で今シーズン初ゴールを挙げましたが、平田選手のポテンシャルから考えると少ないと思われます。
ただ、守備やアシストを含めた攻撃の起点となっており、チームには欠かせない選手です。
アシストについては平田選手がチームトップとなっており、さらに定位置攻撃でのアシストが多く、この数字からも定位置攻撃での起点になっていることがわかります。
そしてやはり得点を生み出す選手としては、今シーズン横浜から移籍した堤選手でしょう。5得点5アシストとチームの得点の約3分の1に絡み、ゴールを生み出すことができる選手であり、しながわ、日本を代表する選手になっています。
しながわシティ 失点傾向
次にしながわの失点についてです。
しながわは9試合で19失点で、名古屋と並んでリーグ2位タイの数字となっています。失点の内訳としては、定位置攻撃が4点(21.4%)、セットプレーが9点(47.4%)、トランジションが1点(5.3%)、特殊局面が5点(26.3%)となっています。
しながわの失点の特徴としては、定位置攻撃とトランジションでの失点が少なく、セットプレーでの失点が多いことです。
定位置攻撃は4失点で湘南と並んでリーグ最少、トランジションは浦安、町田、名古屋と並んでリーグ最少となっています。一方でセットプレーについてはリーグ最多の失点数です。
セットプレーの失点につちては、突出して失点が多い場面はなく、コーナーキックやキックイン、フリーキックなど、満遍なく失点している傾向にあります。
この点を踏まえると、比嘉新監督体制になってからそこまで時間があるとは言えませんので、セットプレー守備の細部にまでは着手できなかった可能性が考えられます。
前半戦9試合総括
F1昇格初年度は思うように成果を出せなかった昨シーズンのしながわですが、今シーズンはリーグ制覇のために現役日本代表の平田選手、堤選手、新井選手、山田選手などを筆頭に、田村選手や東出選手とのような実力者の補強に成功、さらにFリーグでの監督経験も豊富な比嘉監督を招聘し、本気度が伺えます。
その成果もあり、第9節終了時点ではリーグ唯一の無敗で首位浦安に勝点差1の2位と上々の滑り出しとなっています。そのしながわについて今シーズンの戦い方について分析したいと思います。
ディフェンスを最重視するしながわ
まずしながわの最大の特徴としては守備にあると思います。試合を見た印象としては、開幕に向けて比嘉監督は守備の部分に注力されたのではないかと考えています。マーク交換を積極的に行いながら最前線でボールホルダーへのプレスを強める守備を採用し、トレーニングしていることが伺えます。比嘉監督は立川時代も守備に注力していた印象がありますが、選手の個の力があるしながわだからこそ、チーム力を高めるためもに守備をより重視しているかもしれません。
個を活かした攻撃
今シーズンのしながわは、リーグ屈指のタレントを誇っています。攻撃に関してはいろんな局面や状況から、いろんな選手がチャンスを作ったり得点を奪ったりしており、組織的な攻撃というよりは個の能力を活用したプレーが多く見受けられます。多くの選手がボールを持った状況で仕掛けることができたり、相手を剝がせたり、失わなかったりできることで、組織よりも個を重要視した攻撃になっている印象です。この点についても、守備に注力してシーズンを戦っていることが影響している可能性もあるでしょう。守備の体制がより強固になってくれば、攻撃の部分についても比嘉監督がより注力して着手されるのではないでしょうか。
実際の攻撃の特徴としては、縦に速い攻撃を進めています。スピードのある選手やフィジカルの強い選手が多くいるのがしながわの特徴ですので、素早い前進を目指しながらPivoやスペース、またはドリブル突破で前向きのプレーを増やしています。この点についても選手の特徴を活かした戦いになっていると思われます。
特に今シーズン目立っているのが、Pivoのタレントでしょう。アジアカップ日本代表の平田選手や新井選手を筆頭に、藤川選手や笠選手と、強力なPivoが在籍しています。平田選手や新井選手はAlaで、笠選手はFixoの位置でプレーすることもありますが、本職がPivoの選手を2人同時起用するダブルPivoを採用することで起点を2つ作ることができます。さらに堤選手やカイオ選手のようにボールを保持しながらドリブルやパスの選択ができる選手もいますので、押し込んだ状態でのプレーは相手にとって脅威となっています。
セットプレー守備での失点
今シーズンのしながわは、セットプレーでの守備での失点が多くなっています。気になるポイントとしては、失点以外にも特にコーナーキックの2番と3番の間を活用されているシーンが多くあることです。
相手のセットプレーのアクションが開始されてから、2番の選手がポジションを高めに調整してカウンターを狙うような素ぶりを見せますが、3番の選手との間が空いてしまい、そのスペースを活用されてしまうケースが見られます。
改善点としては2つ、2番の選手が我慢してポジションを維持するか、3番も選手が守備範囲を広くしてポジション調整をするかだと考えられます。2番の選手が前に出ずにポジションを維持する場合には、ボールをカットできる可能性が下がりますのでカウンターを狙える回数は減るでしょう。
一方で2番の選手がこれまで通り前に出る場合には、3番の選手が当初2番の選手がいた場所を少し埋めるように調整する必要があります。2番の選手が前に出た場合にはそのスペースは狙われるリスクは高まりますので、3番の選手の守備範囲の広さや判断が重要になります。
しながわに対してはセットプレーで得点を狙うチームは多くなると思いますので、優勝を目指す上では特に下位チームから確実に勝点3をとっていくことが重要で、セットプレーの守備は重要な局面と言えるでしょう。
今後の展望
中断期間を首位浦安と勝点差1で迎えたしながわ、開幕戦で名古屋に勝利するなど、唯一の無敗で中断期間を迎えました。開幕から5連勝と好調でしたが、上位との直接対決があったものの3試合連続で引き分けと少しペースが下がっているように思われます。
しながわは選手のタレントがストロングポイントです。自分で状況を打開できる選手が多いことで誰であっても相手に脅威となっています。逆に言えば、連携や連動などの組織的なプレーが今後の課題と言えるでしょう。今シーズンはメンバーも多く代わり、監督も比嘉監督に交代していますので、まだまだこれから成熟されてくると思われます。比嘉監督は組織のプレーを重要視する監督だと思いますので、日本代表級の選手が多くいるしながわであったもそのマネジメント力で長期的にチームをまとめてくることに期待したいと思います。
中断明けは4試合が終了し、2勝1分1敗となっています。下位の2チームには勝利することができましたが、優勝を争う立川に引き分け、町田に敗戦と、直接対決で勝利できない結果になっています。まだまだシーズンは長く続くため、下位からはしっかりと勝点を奪うことを前提に、直接対決で勝点を落とさないことが重要になってくるでしょう。
まとめ
今回は2位で中断期間を迎えたしながわについて分析しました。大胆な大型補強で、クラブとして本気で名古屋一強の現状を打破しようとする気概が伺えます。試合を見ても各選手の能力は高く、その結果が前半戦無敗という結果になっています。
一方で課題としては各選手の個の能力への依存はあると思われ、チームとして、組織としてどのようにプレーしていくかということは課題と言えます。ただし、今シーズンしながわは転換期を迎えており、それに伴って一気に成熟できるものではないと思います。経験豊富な比嘉監督を中心に個と組織の融合で名古屋に並ぶクラブに成長してもらえれば、今後のFリーグも盛り上がってくるのではないでしょうか。今シーズンの結果だけではなく、今後のFリーグを盛り上げてくれる存在としてのしながわにも期待したいと思います。
リーグ戦としては、次節が首位浦安との直接対決です。今節浦安が町田に勝利しましたので、2位しながわとの勝点差は4、ここでしながわが勝利すればリーグもかなり混戦になり、逆に敗れれば浦安の独走状態となってしまい、非常に重要な試合になります。
それでは今回は以上になります。ありがとうございました!
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