みなさんこんにちは。
先日はFリーグDiv.1第5節しながわシティvsY.S.C.C.横浜、第6節シュライカー大阪vs湘南ベルマーレについて分析しました。
今回はFリーグ2023-2024Div.1第6節、バルドラール浦安対名古屋オーシャンズの試合を分析したいと思います。ぜひご覧ください!
第5節までの戦績
まず最初に両チームの第5節までの戦績について確認しましょう。バルドラール浦安は2勝1分2敗の勝点7で7位、名古屋オーシャンズは5戦全勝の勝点15で1位となっています。
バルドラール浦安戦績
節 | H/A | 相手 | スコア |
1 | AWAY | シュライカー大阪 | 3○2 |
2 | HOME | 立川アスレティックFC | 1⚫︎3 |
3 | AWAY | バサジィ大分 | 4○3 |
4 | HOME | ペスカドーラ町田 | 0⚫︎2 |
5 | AWAY | 湘南ベルマーレ | 2△2 |
名古屋オーシャンズ戦績
節 | H/A | 相手 | スコア |
1 | HOME | しながわシティ | 3○2 |
2 | AWAY | エスポラーダ北海道 | 5○2 |
3 | HOME | Y.S.C.C.横浜 | 6○3 |
4 | AWAY | ボルクバレット北九州 | 3○2 |
5 | HOME | フウガドールすみだ | 6○2 |
昨シーズン上位を争った2チームの対戦です。今シーズンも安定した強さを見せている王者名古屋に対して、浦安は苦しいシーズン序盤となっています。それでは試合の詳細を見ていきましょう。
試合メンバー
それでは試合の登録メンバーを確認しましょう。
バルドラール浦安メンバー
No | ポジション | スタメン | 氏名 |
1 | GK | ◯ | ピレス イゴール |
6 | FP | 大島 旺洋 | |
7 | FP | ◯ | 長坂 拓海 |
9 | FP | ◯ | 本石 猛裕 |
10 | FP | ◯ | 加藤 竜馬 |
11 | FP | ディドゥダ | |
13 | FP | 田中 晃輝 | |
14 | FP | ◯ | 石田 健太郎 |
15 | FP | 吉田 圭吾 | |
17 | FP | 伊東 陽希 | |
18 | FP | 柴山 圭吾 | |
19 | FP | 宇野 伊織 | |
24 | FP | 空 涼介 | |
77 | GK | 福重 勝徳 |
名古屋オーシャンズメンバー
No | ポジション | スタメン | 氏名 |
1 | GK | ◯ | 篠田 龍馬 |
3 | FP | 鬼塚 祥慶 | |
4 | FP | 水谷 颯真 | |
6 | FP | 宮川 泰生 | |
7 | FP | ◯ | 安藤 良平 |
8 | FP | ◯ | アンドレシート |
11 | FP | 清水 和也 | |
13 | FP | ◯ | ダルラン |
15 | FP | ◯ | 吉川 智貴 |
17 | FP | 八木 聖人 | |
18 | FP | 金澤 空 | |
21 | GK | 田淵 広史 | |
55 | FP | 甲斐 稜人 |
浦安は前節から東出選手に代わって吉田選手、小野寺選手に代わって福重選手がメンバー入りし、イゴール選手がスタメン復帰しています。対する名古屋は前節から特別指定選手の伊集選手がメンバーから外れています。
試合結果
昨シーズンの上位対決は、立ち上がりに名古屋が圧倒し、最終的に6-2で名古屋が勝利という結果になりました。
時間 | チーム | 背番号 | 得点者 | 局面 |
0:29 | 名古屋 | 8 | アンドレシート | トランジション |
2:34 | 名古屋 | 6 | 宮川 泰生 | 定位置攻撃 |
8:47 | 名古屋 | 6 | 宮川 泰生 | 定位置攻撃 |
13:41 | 名古屋 | 8 | アンドレシート | トランジション |
35:52 | 名古屋 | 7 | 安藤 良平 | 特殊局面 |
36:03 | 名古屋 | 11 | 清水 和也 | 特殊局面 |
36:39 | 浦安 | 6 | 大島 旺洋 | 特殊局面 |
39:35 | 浦安 | 9 | 本石 猛裕 | 特殊局面 |
浦安は立ち上がりからにショートカウンターで失点すると、その後も名古屋の強度の高いプレスになかなか対応できずに前半を0-4で折り返すことになりました。後半はギアが上がり、浦安の守備の強度が格段に高くなり一進一退の攻防となりましたがパワープレーで2得点、2失点と最終スコアは2-6という結果になりました。
バルドラール浦安の戦評
まずホームのバルドラール浦安の戦評を分析していきます。
真っ向勝負した浦安
浦安のこの試合での印象は、名古屋に対して真っ向勝負を仕掛けたというものでした。名古屋が相手である場合、早い時間に失点してしまうことは致命傷になる可能性が十分にありますが、そのリスクを冒して自分たちの力を証明しようとしたように感じました。過度にリスクを恐れて普段と違う戦い方をするのではなく、ボールを保持しながら基本的には普段通り戦う姿勢が伺えたと感じています。
個人的にはその戦い方はとても好印象だと思っています。現在のFリーグの力関係で言えば名古屋が頭一つ、もしかすると二つ抜けている可能性もあります。それでも名古屋以外のチームが優勝を目指す上で重要なことは、名古屋以外に勝ち続けることだと思います。その上で名古屋に対してはできれば1勝1敗、最低でも1分1敗でシーズンを終え、他の試合で勝点をできるだけ落とさないようにしながら名古屋が負けるのを待つという方が現実的に感じます。
そういう意味で、敗戦のリスクを取った上で名古屋に対してどれだけできるか、次節にエラーを修正するということに焦点を当てた際には悪くない試合だったのではないでしょうか。結果的に立ち上がりに失点してしまいましたが、次に繋がる試合だったと考えられます。
スイッチが入った後半
浦安は後半、特に守備強度がかなり高くなり、スイッチが入った印象があります。詳細は不明ですが、戦術的な変更と言うよりは心理面の改善が見られたように思います。ボールに対するアタックが強くなり、名古屋の選手もかなり苦戦していたように思います。名古屋は後半あまり出場機会のない選手も起用していたこともあるかもしれませんが、後半の失点はパワープレー返しの2点だけですので、後半の守備は機能したと言えます。ただしこの守備を40分間続けることは難しいことになると思いますので、その部分をどのように補うかはどのチームにも言えることですが課題だと思います。鍵になるのは、出場できる選手を増やすことでしょう。どのチームにも言えることですが、練習頻度を上げることはできないと思いますので、特に若手選手の成長が必須だと思います。浦安は下部組織から昇格した選手が多いので、その点期待できるチームではないでしょうか。
名古屋対策のCK守備
昨シーズンもそうですが、名古屋の大きな武器はセットプレーです。アウトサイドから強烈なシュートを打てる選手が多くいますので、名古屋に勝つためにはセットプレーで失点しないことは非常に重要なことになります。
そこで浦安はCKの守備に関して対策を講じてきました。一般的なCK守備の配置としては、4人がY字を作り、中央のスペースを埋めながらアウトサイドにパスが出された時に対応することになります。
しかし浦安は、そのアウトサイドでのシュートを簡単に打たせないために先頭の選手を高い位置に取らせます。そうするとインサイドのスペースを開けてしまいますから、GKのイゴール選手も含めて3人を縦に並べ、中央のスペースを埋める形としました。
この形によりアウトサイドのシュートにはより距離を詰めることができますし、インサイドには選手を多く配置していますので、使うことが難しくなります。
実際にセットプレーからの失点はありませんでしたので、一定の効果はあったように思います。(3点目をセットプレーとするかは悩みましたが、一度守備が整ったと考え定位置攻撃としています)
ではこの守備の弱点はどこかということですが、手前のスペースと言えます。
通常であればいるはずの人がいませんから、大きなスペースがあります。キッカーのマークがかなり遠い位置にいますので、キッカーにリターンパスをすればキッカーがフリーでボールを持てる状態になります。実際に3点目もキッカーの金澤選手が突破していますので、通常の配置だったらひょっとしたらよりプレッシャーに行くことができたシーンかもしれません。
名古屋オーシャンズの戦評
次に名古屋オーシャンズの戦評について分析します。
安定感抜群の名古屋
名古屋のこの試合の印象としては、非常に安定しているということです。1stセットにダルラン選手、吉川選手、アンドレシート選手、安藤選手の外国籍+ベテランの4人、2ndセットに清水選手、金澤選手、水谷選手、宮川選手の日本代表級4人をベースに戦いますが、両セットともに非常に安定した戦いをしています。
特に1stセットはダルラン選手とアンドレシート選手が脅威の得点力を誇った上で経験豊富な吉川選手と安藤選手がバランスを取ってチャンスメイクし、攻守にバランスが優れた上でかなり脅威になるプレーをしています。2ndセットも清水選手の力強さや金澤選手のスピードで相手守備ラインの背後へのアタックが機能していたと思います。
強度の高い守備
この試合でかなり強い印象を受けたこととしては、名古屋の守備強度の高さです。常にボールへのプレッシャーがかかり続け、浦安の選手は非常に前進に苦しんでいました。この試合では1点目と4点目は良いプレスをかけた状態からボールを奪い、素早くゴールを奪っています。後半は特に11名のFPを起用しながらの戦いになったこともありますが、最後まで強度が落ちないプレーで、今年の名古屋の武器の一つと言えるでしょう。
パワープレーを受ける際にも、積極的なプレスでボールを奪いに行く守備を見せ、実際にその形から2点を奪っています。この守備を回避できるのはなかなか難しく、他のチームもかなり苦戦するのではないでしょうか。
Pivoを使う1stセット、スペースを使う2ndセット
名古屋はダルラン選手、清水選手という、FリーグトップクラスのPivoがいます。さらにブラジル代表のギレルマオ選手も加入が発表され、最前線のタレントが大きな魅力の一つです。その中でPivoを配置するシステムを採用しながら、1stセットと2ndセットは少し異なるような印象を受けました。
1stセットはダルラン選手をうまく使い、相手陣地にボールを押し込みながら最終的に他の選手が飛び出していく形が多い印象で、2ndセットは清水選手がいないスペースを金澤選手、水谷選手、宮川選手が狙っていく印象です。特に金澤選手はこれまでなかなかフィットできていないように思いましたが、この試合ではかなり存在感を見せていたように思います。逆に清水選手は守備や起点となる活躍は見せているものの、ゴールという点に関してはこれまで3得点と昨シーズン得点王には少し物足りない印象です。これからギレルマオ選手やダルラン選手とのポジション争いもあると思いますが、日本のエースの爆発が期待されます。
2023-2024シーズンの得失点傾向
それでは6試合終了時点での得失点の傾向と、昨シーズンとの比較について分析したいと思います。
バルドラール浦安の傾向
まずはバルドラール浦安です。
浦安の今シーズンの得点の傾向としては、合計12得点で半数が定位置攻撃、25%ずつでセットプレーと特殊局面となっています。
失点については、4局面で同程度の失点数となってます。
浦安の失点数は18失点です。リーグ4番目に多い数字となっており、少し多いと言う印象です。
少し気になる点としては、イゴール選手をはじめとしたGK陣のコンディションです。イゴール選手は基本に忠実で、大きなブロックを作って体全体で守り、1対1には絶対的な強さがあります。しかし今シーズンは1対1の状況でもゴールを割られる場面がある印象があります。怪我もあって欠場する試合もあり、さらに福重選手や小野寺選手も怪我をした試合もありました。3選手とも素晴らしい選手ですが、コンディション面で浦安のGK陣は少し不安材料になっていると思われます。
名古屋オーシャンズの傾向
次に名古屋オーシャンズです。
名古屋の今シーズンの得点は、29点とリーグ1位の成績です。今年もやはりセットプレーでの得点が非常に多くなっています。また、定位置攻撃でも多くの得点を取っており、周知の事実ではありますが今シーズンも攻撃力が爆発しています。
中でも得点ランキング1位のアンドレシート選手が10点、3位のダルラン選手が8点と、外国籍選手2人で3分の2近くの得点を稼ぎ出しています。
逆に言えば、昨シーズン得点王の清水選手が3点、立川で大黒柱だった金澤選手がまだ得点なしというのは物足りないでしょう。環境にも慣れるという点でもこれからどんどん順応してくれるとは思いますので、ゴールを期待したいと思います。
失点については、合計13失点でリーグ3位になっています。リーグ内では決して多くはないのですが、名古屋にしては多いような気がします。
以外と多いのが定位置守備になっています。昨シーズンで退団したアルトゥールの不在は影響が大きいのかもしれません。また、昨シーズンはトランジションでの失点割合がかなり多かったのですが、今シーズンはトランジションでの失点が少なくなっています。定位置攻撃での得点が多い割にトランジションでの失点が少なくなっていますので、良い攻撃ができているということも言えます。
今後の両チームについて
最後に、今後の両チームについて分析したいと思います。
まずバルドラール浦安ですが、端的に言えば上手くいっていないシーズンです。6試合ですでに3敗しており、優勝に向けて厳しい状況が続いています。やはりガリンシャ選手の不在は少なからずあると思います。
今後の展望としては、やはり得点を増やしたいところでしょう。全体の得点数も増加させたいところで、その中でもトランジションでの得点を増やすことが効果的だと考えています。名古屋戦の後半は特に強度の高い守備ができていたので、それを今後も継続した上でボールを奪って素早くゴールを奪うことができれば自ずと結果は出てくるのではないでしょうか。
今後は勝点が近いチームとの試合が多いためここが正念場です。前述の通り、優勝には名古屋以外の相手に勝点を落とさないことが重要です。ここで勝点を拾えた場合は、優勝ということも見えてくると思います。逆にこの直接対決で勝点を多く落とすことがあれば、最悪残留争いに巻き込まれる可能性もあります。次節の北海道は、前節今シーズン初勝利を挙げて良い状態で試合を迎えることになります。この1戦は浦安に取って今後の大きな分岐点になるかもしれません。
一方名古屋は、これまで盤石の戦いをしています。順当に行けばこのままレギュラーシーズン1位で終える可能性は高いでしょう。それだけ強いと言えます。あえて言うなら、昨シーズンよりも少し失点が多いことでしょうか。それでも日本代表級の若い選手が多くいるので、今シーズンは選手の成長を促しながら勝利を掴みにいく戦いになるのでしょう。今は外国籍選手の活躍が目立ちますが、日本代表クラスの日本人選手の活躍、結果に期待したいと思います!
次節、名古屋はシュライカー大阪と、浦安はエスポラーダ北海道と対戦します。
それでは今回は以上になります。ありがとうございました!
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