みなさんこんにちは。
苦しみながらも首位で決勝トーナメントに進出したフットサルアジアカップ、準々決勝はインドネシアと対戦しました。先制を許しながらも連続得点で逆転、イゴール選手のパワープレー返しで3-1とし、終了間際に1点返されましたが3-2で勝利しました!
ハラハラする試合でしたが、準決勝に向けてインドネシア戦も解説しています。予選リーグのサウジアラビア戦、韓国戦、ベトナム戦の記事も併せてご覧ください。
日本代表メンバー
スターティング5
GK | 1 | ピレス・イゴール | バルドラール浦安 |
ALA | 3 | 水谷 颯真 | 名古屋オーシャンズ |
FIXO | 5 | オリベイラ・アルトゥール | 名古屋オーシャンズ |
ALA | 6 | 吉川 智貴 | 名古屋オーシャンズ |
PIVO | 9 | 平田 ネトアントニオマサノリ | 名古屋オーシャンズ |
控え選手
GK | 2 | 黒本 ギレルメ | 立川アスレティックFC |
ALA/FIXO | 4 | 石田 健太郎 | バルドラール浦安 |
ALA | 7 | 金澤 空 | 立川アスレティックFC |
ALA/FIXO | 8 | 上村 充哉 | 立川アスレティックFC |
ALA | 10 | クレパウジ・ヴィニシウス | ペスカドーラ町田 |
PIVO | 11 | 清水 和也 | フウガドールすみだ |
ALA | 12 | 原田 快 | FCバルセロナB |
ALA/PIVO | 13 | 長坂 拓海 | バルドラール浦安 |
FIXO | 14 | 内村 俊太 | 湘南ベルマーレ |
日本のメンバーは韓国戦、ベトナム戦と同じスターティング5となり、GKはイゴール選手、FPは名古屋オーシャンズセットとなりました。
シュートスタッツ
日本 | インドネシア | |
27 | シュート数 | 21 |
15 | 枠内 | 13 |
12 | 枠外 | 8 |
日本は枠内15本、枠外12本の合計27本、インドネシアは枠内13本、枠外8本の合計21本でした。グループリーグ3試合は日本がシュート数で圧倒していましたが、この試合は初めてほぼ互角という展開になりました。
局面別のシュート内訳は以下の通りです。
試合自体は、日本がボールを保持し、インドネシアが守る時間が多かったように感じます。実際に数字でも日本は定位置攻撃でのシュートが合計12本で、対するインドネシアは4本と、その傾向は数字にも出ています。
また、インドネシアの枠内シュートは半分以上がトランジションで、日本の攻撃を受けつつもボールを奪った後の速い攻撃を狙っていたことが読めます。実際にゴレイロがキャッチした後に両サイドを駆け上がることでシンプルにシュートまで持ち込むシーンもありました。ボール保持自体は日本であったものの、戦略的には互角で、インドネシアも狙い通りにプレーができたのではないかという印象です。
また、日本は他の試合と比べてセットプレーでのシュートが少ない結果になりました。
セットプレーシュート数 | |||
枠内 | 枠外 | 合計 | |
vs サウジアラビア | 11 | 5 | 16 |
vs 韓国 | 5 | 9 | 14 |
vs ベトナム | 5 | 7 | 12 |
vs インドネシア | 3 | 4 | 7 |
4試合で比較すると、セットプレーの合計シュート数が予選3試合の半分程度です。セットプレーを得意とする日本にとってはなかなかリズムを作ることができない展開になったと思います。
選手別のシュート本数は以下のようになります。
名古屋セットのシュートが減ってきている印象です。枠内シュートは清水選手と金澤選手がチーム内では多く、2ndセットの方がチャンスをシュートチャンスを作っていると言えます。名古屋セットは長時間出場している上で4試合目なので、疲労が蓄積している可能性も十分にあり得ます。また、平田選手のシュートがないのが少し心配です。ボールキープや守備での貢献度はかなり高いのですが、自らシュートに行くパワーが残っていないのかもしれません。
一方清水選手は好調を維持していると言えます。インドネシア戦で得点こそありませんでしたが、シュートはほとんど枠内に飛ばしています。得点が清水選手自身の勢いをつけていることがわかります。
日本のプレス回避
インドネシアは前からゾーンで積極的なプレッシングを実施してきました。対する日本は、立ち上がりからゾーンディフェンスの弱点であるライン間とウィークサイドをうまく使いながらプラス回避ができていました。
スムーズにできていたので、事前のスカウティング通りだったように思います。
時間が経過するにつれて、日本にもパスミスが出てきて上手く前進できないシーンも出てきました。それでも、PIVOの2人が質の高さを見せ、前進に大きく貢献しています。
先制点を許したシーンの振り返り
後半立ち上がりに失点を許したシーンについて、振り返りたいと思います。
右サイドでボールを持った水谷選手に対して、アルトゥール選手が開き、吉川選手がラインカットで中央に侵入してきました。水谷選手はアルトゥール選手に長いパスを飛ばそうと試みたところ、カットされてしまいショートカウンターで失点をしてしまいました。
今回のシーンでは、相手が少し前にポジションを取ったことで奪われてしましました。吉川選手が相手より後ろにいるタイミングで水谷選手パスを出したことが一つの原因と考えます。
同じようなことですが、水谷選手からアルトゥール選手への飛ばしのパスを相手に切られてしまったことも原因と考えられます。結果論ですが、アルトゥール選手がもう少し低い位置にいればパスカットされることはなかったかもしれません。ただし、水谷選手へのプレスはかかっていなかったため、前のポジションを取る選択は間違いでないと思います。プレスがかかっていないにも関わらず相手選手がリスクをかけて奪いに来たことでボールを奪われてしまったシーンで、相手の判断を褒めるべきだと思いました。
また、ラインカットの目的は、相手守備1列目で数的有利を作り、守備ラインを突破することです。
相手の守備の対応に応じて適切な選択肢を使い、相手の守備ラインを超えていくことが理想的です。よって、常に2つのパスラインを確保する必要があります。飛ばしのパスを受ける選手は、高さの微調整が必要です。パスが通る高さで最も高い位置を取ることが理想となり、意外と重要な役割を担っています。
ラインカットは、数的有利を作りやすい一方で、中央でボールを奪われるリスクがあります。しかも今回は相手選手がリスクをかけてボールを奪いに来た結果でと考えます。もし水谷選手からアルトゥール選手への飛ばしのパスが通っていたら、12番の選手は前に出ているためマークについていくことができず、日本が数的有利を作って攻撃ができていた可能性もあります。
つまり、このシーンではハイリスクハイリターンの行動をとった相手選手が上回ったということだと考えています。
現在の日本代表はラインカットを多用していますが、当然リスクも理解して実施しているはずです。ですので、今回の失点も想定内であり、今後のラインカットの使用には影響しないと考えます。もちろん、中1日で強度の高いトレーニングはできませんから、ラインカットの細かい入り方やポジショニングは修正されているかもしれません。準決勝以降、ラインカットから守備ラインを突破して得点を奪うシーンが出れば良いなと思います。
疲労が見え始めた名古屋セット
アルトゥール選手、吉川選手、平田選手、水谷選手は、木暮監督が絶対的な信頼を置き、3試合連続でスターティングメンバーに名を連ねている名古屋オーシャンズ所属の4人です。この試合でもこの4人は非常に長い時間プレーしました。
水谷選手とヴィニシウス選手が代わる場面や、平田選手が少し早めに清水選手と交代する場面はありましたが、アルトゥール選手と吉川選手は休むことなく長い時間の出場時間になっています。そのことが原因かはわかりませんが、アルトゥール選手と吉川選手にいつもであれば考えられないようなパス、シュートミスが増えたように感じます。
鍵になるのは出場時間があまりない選手の活躍だと思います。ウズベキスタン戦も名古屋セットを中心に試合を進めることになり、長坂選手、内村選手、原田選手にはそこまで多くの出場機会は回ってこないでしょう。ただし、その短い時間でチャンスを与えられた選手が結果を出せば、主力の選手たちも精神的に疲労感が少なく感じるのではないでしょうか。実際、インドネシア戦では原田選手が本当に少ない時間の出場時間でチャンスを作り、金澤選手の得点の起点となり、直後に名古屋セットで逆転ゴールを決めることにつながったと思います。そのような選手が1人でも多く出ることを期待しています!
まとめ
今回はフットサルアジアカップ決勝トーナメント準々決勝、日本対インドネシアの試合を分析しました。
首位通過でイランとの早期対戦を避けられた日本でしたが、近年実力をつけてきている東南アジア勢のインドネシアにも大変苦しめられました。ボールは日本が持つ展開とはなりましたが、積極的なプレッシングとボールを奪ってからの速いカウンターを武器に、日本とも互角の戦いを見せました。
準決勝の相手はウズベキスタンです。予選を全勝で勝ちあがり、準々決勝では開催国のクウェートに3-0勝利したチームで、昨年のワールドカップにも出場し、決勝トーナメントにも進出している強豪です。これまでもそうですが、ここからは特に楽な試合はなく、1つのミスで大きく展開が変わってしまう可能性のある試合だと思います。
私が準決勝で期待するポイントは3つあります。
インドネシア戦前にも挙げましたが、まずは平田選手のゴールです。インドネシア戦では疲労が見え、少し精彩を欠いたようにも見えましたが、守備でのハードワーク、PIVO当て時のFIXOとのバトルは非常に効果的で、今の日本代表に欠かせない存在です。どんな形であれ、とにかくゴールという結果が欲しい!本人もおそらくそのように思っていると思います。出場時間は長くなると思いますが、今回も期待です!
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