みなさんこんにちは。これまでFリーグDiv.1の試合について分析してきました。
今回はFリーグ2023-2024Div.1第8節、フウガドールすみだ対ボルクバレット北九州の試合です。ぜひご覧ください!
第7節までの戦績
まず最初に両チームの第7節までの戦績について確認しましょう。フウガドールすみだは1勝1分5敗の勝点4で11位、ボルクバレット北九州は2勝5敗の勝点6で9位となっています。
フウガドールすみだ戦績
節 | H/A | 相手 | スコア |
1 | AWAY | 立川アスレティックFC | 0△0 |
2 | HOME | バサジィ大分 | 1○0 |
3 | AWAY | ペスカドーラ町田 | 3⚫︎5 |
4 | HOME | 湘南ベルマーレ | 0⚫︎4 |
5 | AWAY | 名古屋オーシャンズ | 2⚫︎6 |
6 | AWAY | エスポラーダ北海道 | 2⚫︎3 |
7 | AWAY | Y.S.C.C.横浜 | 1⚫︎7 |
ボルクバレット北九州戦績
節 | H/A | 相手 | スコア |
1 | AWAY | バサジィ大分 | 3⚫︎4 |
2 | HOME | ペスカドーラ町田 | 1⚫︎4 |
3 | AWAY | 湘南ベルマーレ | 4⚫︎5 |
4 | HOME | 名古屋オーシャンズ | 2⚫︎3 |
5 | HOME | エスポラーダ北海道 | 6○1 |
6 | HOME | Y.S.C.C.横浜 | 3⚫︎6 |
7 | AWAY | しながわシティ | 1○0 |
お互い開幕から苦戦し、下位に沈む両チームの直接対決になりました。すみだは昨シーズンから監督が交代し、大黒柱だった清水和也選手の移籍やベテラン選手の引退があり、補強はクラブ内での若手選手のみで、新しいチームになったと言えます。若い選手が多い中でチームの若返りを図っており、構築しながらのシーズンになっていると考えられます。
一方北九州は、多くの選手が入れ替わるシーズンとなり、こちらも昨シーズンを継続しながらにはなるものの新しくチームを作り直す必要があったように思います。また、ジョー選手やジュニーニョ選手の離脱もあり、台所事情は苦しいものではないでしょうか。
そんな中でシーズン中盤に差し掛かる中での直接対決、お互いにとって非常に重要な試合になりました。
試合メンバー
それでは試合の登録メンバーを確認しましょう。
フウガドールすみだメンバー
No | ポジション | スタメン | 氏名 |
1 | GK | ◯ | 岸 将太 |
4 | FP | ◯ | 諸江 剣語 |
5 | FP | ◯ | 星 龍太 |
9 | FP | ◯ | 清水 誠也 |
10 | FP | 田口 元気 | |
11 | FP | 畠山 勇気 | |
14 | FP | 根本 佑 | |
17 | FP | 栗本 博生 | |
19 | FP | 甘利 斗亜 | |
20 | GK | 本地 一貴 | |
27 | FP | 羽生 恒平 | |
30 | FP | 砂原 健人 | |
36 | FP | ◯ | 中田 秀人 |
44 | FP | 安藤 大智 |
ボルクバレット北九州メンバー
No | ポジション | スタメン | 氏名 |
1 | GK | 山下 泰輝 | |
2 | GK | ◯ | 伊名野 慎 |
5 | FP | 浦上 浩生 | |
9 | FP | 星野 祐作 | |
10 | FP | ◯ | 安嶋 健至 |
11 | FP | 大澤 将士 | |
14 | FP | 玉井 勇輝 | |
15 | FP | クシヤマ イザケ | |
17 | FP | ◯ | 田村 龍太郎 |
18 | FP | パカット | |
32 | FP | ◯ | 宮崎 岳 |
78 | FP | 松川 網汰 | |
87 | FP | ◯ | 花嶋 悠 |
90 | GK | 今給黎 空 |
すみだは出場選手の北村選手に代わって星選手、また崔選手に代わって羽生選手がメンバー入りしています。またステーティングメンバーのセットも変更してきました。この試合は諸江選手、星選手、清水選手、中田選手と経験のある選手をスタートで起用しています。
また北九州は前節と同じメンバーで、スターティングメンバーも同じです。しながわに勝利した前節からメンバーを代えずにこの試合に挑みました。
試合結果
すみだと北九州の対戦は、立ち上がりにすみだが先制し、その後リードを常に保ちそのまますみだが3対2で勝利する結果になりました。
時間 | チーム | 背番号 | 得点者 | 局面 |
0:22 | すみだ | 9 | 清水 誠也 | 定位置攻撃 |
11:58 | すみだ | 1 | 岸 将太 | 特殊局面 |
18:35 | 北九州 | 15 | クシヤマ イザケ | トランジション |
20:36 | すみだ | 9 | 清水 誠也 | セットプレー |
39:59 | 北九州 | 17 | 田村 龍太郎 | 特殊局面 |
すみだは前半と後半ともに立ち上がりで得点を奪うことに成功しています。前後半ともに中盤は膠着した展開になりましたが、すみだがリードを常に守り切る形になりました。
フウガドールすみだの戦評
まずホームのフウガドールすみだの戦評を分析していきます。
気持ちが見えた守備
この試合のすみだですが、守備において非常に気持ちが入っていることがわかる試合だったと感じています。攻め込まれる時間帯も多くありましたが、最終的にシュートに対して体を投げ出してゴールを守る気迫ようなものを見ることができました。
前節7失点と大量失点で敗れたこともあり、連敗を止めるために守備のところの精神面での整理が行われたのではないかと想像しています。なかなか攻撃面でうまくいっていないシーズンですが、勝利を掴むための手段としての良い成功体験になったのではないでしょうか。
清水誠也選手の奮闘
この試合、清水誠也選手の奮闘がかなり際立っていたと思います。後述しますが常に北九州のパカット選手を相手にしながらも体を張ってボールをキープして攻撃の時間を作っていました。技術的にも精神的にもチームを引っ張る中心選手であることは間違いないでしょう。その姿勢が見えるプレーだったと思います。
多様な守備戦術
すみだはこの試合で多くの守備戦術を採用していたと思います。前半は前からのプレスを多く仕掛け、後半は少し守備ラインを下げてプレーしていました。
1stセットはマンツーマンをベースに強いプレスをかけ、2ndセットはゾーンでマーク交換を多用するタイミングとマンツーマンでついていく戦術をタイミングに応じて分けて採用していました。2ndセットは前半はそのプレスが機能してカウンターのチャンスを作ったり、相手の前進を阻んでいたように思います。若い選手が多い中でもいろんな戦術をタイミングに応じて採用できるということは下部組織が充実しているクラブの良さではないでしょうか。下部組織で多くの技術戦術を理解し、トップチームでそれを発揮できる環境になっているのではないかと思います。
セット間の違い
この試合では、1stセットと2ndセットの間で差があった試合だったように思います。1stセットはPivoの清水選手を起点にボールを保持、前進ができていた時間帯もありましたし、2得点を挙げています。一方2ndセットは後半は特に守備の時間が長く、攻撃でもすぐに相手ボールにしてしまうということが多くなったように感じます。もちろん、シーズンを通してこのセットではないことや北村選手の出場停止もありますので一概には言えませんが、経験の少ない選手が成長するには試合に出場するしかないと思いますので、若手選手を起用しながら戦っていくことが求められます。
ボルクバレット北九州の戦評
次にボルクバレット北九州の戦評について分析します。
すみだのセットに合わせた北九州
北九州は、すみだの交代に合わせて交代する方法を採用しました。キックオフ直後にセットを全て交代したこともそれが理由であると考えます。
最も重視したかったことは、清水選手にパカット選手をぶつけたかったのではないでしょうか。清水選手はチーム内得点王であり、唯一の複数得点者であることから、チームのキーマンであることは間違いありません。フィジカルにも優れた選手であることから、北九州も清水選手に対抗ができるパカット選手を当てたかったと考えられます。
この方法は全体を通して見ると悪くない戦法だったと思います。すみだは今シーズン得点が少なく、その多くを清水選手が取っているのですから、そこを最重要視して仕事をさせないことは重要なポイントだったと思います。パカット選手はある程度しっかり対応できていたと思いますので、だからこそ1失点目がもったいなかったと感じます。
決めきれなかったシュート
この試合の北九州はセットプレーとトランジションを中心にシュートチャンスを作り出していた試合にだったように思います。実際のシュート数ですが、すみだの12本に対して北九州の43本と、北九州はすみだの3.5倍のシュートを放っています。ポストに当ててしまったり、GKの岸選手の好セーブに合ったりするなど、もう少しで得点というシーンは作り出しましたが決めきれず敗戦となりました。
印象としては、ゴールに近い位置でシュートを増やしたいのではないでしょうか。パカット選手や宮崎がゴールから距離がある位置からミドルシュートを打つシーンは多く作り出しましたがが多くあり、中央に侵入できなかったように思います。
可能性を見せたセットプレー
北九州はセットプレーで多くのチャンスを作っていました。アウトサイドからのシュートが中心ですが、何度もすみだゴールを脅かしていたと思います。北九州はセットプレーでの得点が少ない状況ですので、多くのシュートチャンスを作れていることに関しては良い点だと思います。
それでも得点を奪えていないということが現状ですので、タイミングなのか、キッカーの選択なのか、シュートの質なのか、配置なのか、改善して得点を奪えるようにしたいところでしょう。
2023-2024シーズンの得失点傾向
それでは8試合終了時点での得失点の傾向と、昨シーズンとの比較について分析したいと思います。
フウガドールすみだの傾向
まずはフウガドールすみだです。
すみだの今シーズンの得点の傾向としては、合計12得点で、リーグ最下位となっています。
まずは得点数がかなり少ないことは大きな課題と言えますが、清水和也選手の移籍やベテラン選手の引退が非常に大きな影響はあると考えます。局面別としてはどの局面も均等に得点を挙げています。守備の時間が長くなっていることもありますから、やはりトランジションとセットプレーでの得点を増やすことが目先の勝利には必要なことだと思います。
失点の傾向としては、合計27失点で、リーグ2番目に多い数字となっています。
最も失点が多いのはセットプレーです。
セットプレーでの失点数はリーグ最多となっていることから、ここの部分の改善は必要ではないでしょうか。
ボルクバレット北九州の傾向
次にボルクバレット北九州です。
北九州の今シーズンの得点は、22点となっており、特殊局面が半数以上の12得点となっています。
昨シーズンも特殊局面での得点が多かったのですが、その時よりも割合は多くなっています。
特殊局面での得点内訳としては、GKが交代をせずにGKを活用して攻撃をするGK活用での得点が半数の6得点です。伊名野選手でも今給黎選手でも上がってプレーすることができますので、それは北九州の強みと言えます。
また、定位置攻撃とセットプレーでの得点が非常に少ないことが課題と言えます。
定位置攻撃はリーグで2番目に少なく、セットプレーは4チーム並んで最も少なくなっています。前述の通り、セットプレーでチャンスは多く作れていますので、セットプレーで得点を奪えるように改善することが重要になります。
北九州の失点の傾向としては、合計で26失点でリーグ3番目に多く、定位置攻撃での失点が最も多くなっています。
北九州のこの失点の内訳ですが、実はリーグ全体の内訳に近いものがあります。
リーグ平均と比べて定位置攻撃が少し多く、トランジションが少し少なくはなっていますが、かなりリーグ平均に近い形と言えます。その中でリーグで3番目に失点が多いということなので、まずは全体的な失点の減少が必要なのではないかと考えます。
今後の両チームについて
最後に、今後の両チームについて分析したいと思います。
まずフウガドールすみだですが、5連敗とかなり苦しい状況でしたがこの試合で久しぶりの勝利をあげることができました。直接対決での勝利となりましたので順位も上がり非常に良い結果となったと思います。ただし、やはり得点が少ないことが大きな課題です。しかし、若く経験の少ない選手も多いことからすぐに得点力が上げるのは難しく、まずは守備を安定させて失点を減らすこと、その中でもセットプレーでの失点を減らすことが重要と考えます。また、チームも若返りを図っていることから、経験の少ない若い選手を積極的に起用しながら成長を促し、その中で勝利を掴むことも監督に求められるでしょう。
次はボルクバレット北九州についてです。8節終了時点で6敗していますが、そのうち4試合が1点差での敗戦になっています。惜しい試合はできていますので、現実的な目標としては残留だと思いますので、そのような接戦で勝点を奪えることが必要で、引き分けや逆転に持ち込めるような試合を増やしていきたいところでしょう。
今シーズンも特殊局面での得点は多くなっていますが、パワープレーでの得点は昨シーズンと比べてそこまで多くはない状況です。昨シーズン8試合で7得点、今シーズン8試合で4得点と半数近くになっています。この状況もなかなか接戦をモノにできていない一因かもしれません。
今後の課題としては、やはりセットプレーでの得点を増やしたいところです。シュートチャンスは作れていますので、精度を高めていくことが重要であると思います。
次節、すみだはしながわシティと、北九州はバルドラール浦安と対戦します。
それでは今回は以上になります。ありがとうございました!
コメント