#146 日本女子フットサルリーグ2024-2025分析

女子Fリーグ

みなさんこんにちは。

日本女子Fリーグ2024-2025のレギュラーシーズン、ファイナルシーズンの全日程が終了し、レギュラーシーズン3位のSWHレディース西宮の逆転初優勝で幕を閉じました。

来年初めて女子のワールドカップが開催されることになっており、クラブや選手としても日本としても盛り上がりを見せたい女子フットサル、今シーズンの女子Fリーグの全体傾向を解説していきたいと思います。是非ご覧ください!

女子Fリーグ2024-2025 順位表

まず最初に今シーズンの女子Fリーグの順位を振り返ります。

レギュラーシーズン

順位 チーム 勝点 得点 失点 得失 点差
1 バルドラール浦安ラス・ボニータス 25 8 1 1 54 13 41
2 アルコ神戸 25 8 1 1 52 14 38
3 SWHレディース西宮 23 7 2 1 42 11 31
4 立川アスレティックFCレディース 19 6 1 3 26 16 10
5 フウガドールすみだレディース 15 4 3 3 48 19 29
6 福井丸岡ラック 15 4 3 3 26 23 3
7 アニージャ湘南 12 3 3 4 20 19 1
8 さいたまサイコロ 10 3 1 6 18 46 -28
9 エスポラーダ北海道イルネーヴェ 7 2 1 7 19 30 -11
10 流経大メニーナ龍ケ崎 4 1 1 8 12 82 -70
11 ミネルバ宇部 1 0 1 9 8 52 -44

ファイナルシーズン 上位リーグ

順位 チーム 勝点 得点 失点 得失 点差
1 SWHレディース西宮 36 11 3 1 61 21 40
2 バルドラール浦安ラス・ボニータス 32 10 2 3 72 26 46
3 アルコ神戸 30 9 3 3 62 28 34
4 立川アスレティックFCレディース 25 8 1 6 35 28 7
5 フウガドールすみだレディース 24 7 3 5 71 40 31
6 福井丸岡ラック 17 4 5 6 30 36 -6

ファイナルシーズン 下位リーグ

順位 チーム 勝点 得点 失点 得失 点差
7 アニージャ湘南 21 6 3 5 40 23 17
8 エスポラーダ北海道イルネーヴェ 16 5 1 8 31 38 -7
9 さいたまサイコロ 16 5 1 8 26 52 -26
10 流経大メニーナ龍ケ崎 8 2 2 10 25 107 -82
11 ミネルバ宇部 2 0 2 12 16 70 -54

今シーズンの女子Fリーグは、レギュラーシーズン3位だったSWH西宮レディースが初優勝、バルドラール浦安ラス・ボニータスが準優勝、アルコ神戸が3位という結果になりました。上位3チームは昨シーズンも同じ3チームが上位を占めています。

また、4位以降に立川、すみだ、丸岡と続き、下位リーグは湘南、北海道、さいたま、流経大、宇部となっています。

拮抗する上位3チーム

2年連続で西宮、浦安、神戸の3チームがトップ3を占め、女子Fリーグの中ではこの3クラブは突出した存在になっています。シーズン終了後の日本代表合宿には西宮から8名、浦安から4名、神戸から2名と、招集19名のうち14名がこの3チームから招集され、ワールドカップを目指す日本代表としてもチームの主軸を担う選手が揃う3チームであると言えます。

その中でも今シーズンは、拮抗したシーズンだったと言えます。昨シーズンまでは4連覇中の浦安が強さを見せつけるシーズンでしたが、今シーズンの浦安は西宮、神戸ともに1勝1敗、西宮対神戸の戦績も2引き分けと、この3チームの対戦はどちらが勝ってもおかしくない接戦だったことがわかります。

チーム スコア チーム
1 バルドラール浦安ラス・ボニータス 2-4 アルコ神戸
2 アルコ神戸 2-2 SWHレディース西宮
10 SWHレディース西宮 1-2 バルドラール浦安ラス・ボニータス
12 アルコ神戸 2-2 SWHレディース西宮
15 SWHレディース西宮 5-4 バルドラール浦安ラス・ボニータス
16 バルドラール浦安ラス・ボニータス 3-0 アルコ神戸

最終的には西宮が優勝しましたが、どこか1チームが強いのではなく、浦安と神戸の3チームを中心に優勝争いを繰り広げました。今後もこの3チームが女子フットサルを牽引していくことになると思われます。

上位リーグ争い

その上位チームに次ぎ、上位リーグ争いをするチームとしては、立川、すみだ、丸岡、湘南と続きました。昨シーズンはすみだが6位湘南と得失点差で、今シーズンは湘南が6位丸岡と勝点差3で下位リーグになっています。

この4チームの中では立川が少し勝点を重ねている状況にはありますが、なかなか上位3チームには食い込めていない印象です。立川は上位3チームに対しては全敗で、逆にその他のチームには丸岡に1引き分け以外は全勝と、負けなしとなっています。立川が上位に食い込むためには、西宮、浦安そして神戸に対して勝点を獲得していけるかがポイントになるでしょう。

昨シーズンは下位リーグとなったすみだですが、リーグをかき回す存在になりました。西宮には1分1敗、浦安には1勝1敗、神戸には2連勝と、すみだは上位から勝点を獲得する結果になっています。ただ、順位を争うチームに対してはなかなか勝点を思うように積み重ねられず、中位でのフィニッシュとなりました。そのような試合で取りこぼしを減らすことができれば、上位3チームの中に食い込んでいける可能性もあるのではないでしょうか。

福井は2年連続で上位リーグ進出となりましたが、ファイナルシーズンではキャプテンで日本代表の池内選手を怪我で欠いたこともあって苦しい展開が続き、ファイナルシーズンでは勝利なしという結果になりました。地域密着の中で近年では主力選手の移籍や退団があり難しい台所事情ではありますが、若い選手の台頭の中で上位リーグを掴んでいます。育成型のクラブであると思いますので、上位を目指す中で有望選手の育成や日本代表選手の輩出に今後も注力されるのではないでしょうか。

今シーズンはレギュラーシーズンで7位となり上位リーグを逃した湘南ですが、昨シーズンに選手が大量退団する難しい1年だったと思われます。ただ、浦安に引き分けるなど力はあるチームだと思いますので、安定的に力を発揮できれば今後の上位リーグへの進出も可能だと思います。

下位リーグチーム

今シーズンの下位リーグのチームは湘南、北海道、さいたま、流経大、宇部の5チームになりました。北海道から宇部までは昨シーズンと同じ順位であり、上位とは少し差がある印象です。ただ、まだまだ環境の整備が必要な女子フットサル界では、選手の獲得に苦労している側面もあると思われます。
男子に比べてそもそもの競技人口が限られる中で、北海道は北海道出身の選手で構成されていますし、流経大はサッカーとの兼ね合い、宇部も移籍するには遠方でハードルが高い側面もあると思います。さいたまについては浦安の筏井選手や松本選手のように他のチームに移籍した事例もあり、なかなか選手の補強や維持が難しい状況にあるのではないでしょうか。

それでも、宇部が環境を充実させて外国籍選手や他地域から選手の獲得を進めたり、北海道は男子の成績によって脱退の可能性もあった中で存続の可能性が報道されていたりと、明るいニュースも見られます。今は下位となっているチームであったも、より接戦の試合が増えれば、今後ワールドカップが始まる女子フットサルも盛り上がってくるのではないでしょうか。

クラブ間の実力差

女子Fリーグの課題としては、クラブ間の実力差が大きいことだと思います。レギュラーシーズンの対戦表を示します。

赤枠で囲んだ部分が上位リーグ進出チーム対下位リーグ進出チームの対戦になりますが、下位リーグチームは上位リーグチームに1勝もできていません。上位リーグ進出チームは、その他の上位リーグ進出チームに対して少なくとも1勝はできていますので、その結果が上位と下位を分けたのではないでしょうか。

また、湘南や北海道は上位チーム相手にもスコア的には善戦していますが、さいたま、流経大、宇部は大差での敗戦も多くなっています。昨シーズンは得失点で上位リーグ進出の明暗を分けたこともありますので、上位相手に失点を減らすことがポイントになると考えます。

上位リーグチーム対下位リーグチームの対戦における得失点の分類を示します。

上記グラフは、上位リーグチームの6チーム対下位リーグチームの5チームの対戦における得失点の合計のデータになります。上位リーグの得点および下位リーグの失点の内訳のデータを見ると、上位リーグのチームは定位置攻撃での得点が多くを占めています。また、上位リーグチームに対する下位リーグの得点はトランジションと特殊局面が少ないことがわかります。

これらからわかることとしては、下位リーグのチームは定位置守備とトランジション攻撃をより強化できれば、大差になる試合も減少してくるのではないでしょうか。

リーグ全体としては定位置守備とトランジション攻撃の強化は必要であると考えますが、各チームでは状況が異なります。

北海道と流経大、そして宇部の3チームは定位置攻撃での失点が非常に多くなっており、トランジションでの得点は北海道と流経大が0、宇部が1と少ない状況ですので、リーグ全体としての傾向に近いと言えます。

一方でさいたまと湘南は定位置攻撃での失点はそこまで多くありません。ただし、トランジションでの得点はさいたまが1、湘南が0と課題であると言えます。

つまり、リーグ全体と各チームの個別の課題を総括した場合には、トランジション攻撃での得点の少なさが最大の課題と言えます。もちろんどのように定位置守備からボールを奪うかも考慮する必要はありますが、トランジション攻撃を強化することによってよりクラブ間の実力差が縮まってくるのではないでしょうか。

上位リーグのチームは個の能力が相対的に高いケースが多くありますので、チームとしての組織的な守備と、相手からボールを奪った後に素早くどのようにゴールを奪うのかという部分の強化が重要な要素と言えるでしょう。

ワールドカップに向けて

来年は女子フットサルにとって大きな転換点となる可能性があります。それは、2025年に第1回のワールドカップが開催されるからです。ワールドカップで結果を残すことができれば、露出が増える可能性もありますし、女子フットサルの認知度が高くなる可能性もあります。男子がワールドカップ出場を逃していますから、日本フットサル界にとって女子は必ず出場し、その上で良い成績を達成したいところです。

現状は上位である西宮と浦安にメンバーが中心となっていますが、よりリーグのレベルが上がると多くのチームから選出されたり、選手のレベルが上がったりと、強化につながります。これまでの積み重ねがあってのことですが、来年のワールドカップに向けての競争はリーグが主戦場になってメンバーが決まっていくと思いますので、来シーズンは代表メンバー争いも注目ポイントでしょう

また、日本はアジアでは強豪チームの一つです。ボールを持つ時間が長くなり、相手の堅い守備を崩し、相手のカウンター対応が予選を戦う上で重要になります。来シーズンの上位チームを中心に日本代表は選出されると思われますので、下位のチームが安定した守備と鋭いカウンターをできれば良いシミュレーションになります。現在選出されている選手やその選手が所属するチームだけではなく、リーグの底上げが日本代表の強化やまずは予選突破に繋がってくると思いますので、来シーズンは接戦の試合より増えることを期待したいと思います。

今回は女子Fリーグの全体感を解説しました。今後はチームごとの分析を行う予定にしていますので、そちらもご覧ください。

それでは今回は以上になります。ありがとうございました!

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