みなさんこんにちは。
今回もAFCフットサルアジアカップタイの日本代表についてです。グループリーグ2戦を終え、1勝1敗の3位で最終戦を迎えた日本、グループリーグ突破には勝利が絶対条件の状況でタジキスタン代表と対戦しましたが、1対1の引き分けに終わり、まさかのグループリーグ敗退となってしまいました。また、この敗退に伴ってW杯の出場権も獲得することができませんでした。
まさかの結果にショックは残りますが、このタジキスタン代表戦について解説していきたいと思います。
韓国代表戦、キルギス代表戦については以下で解説していますので、併せてご覧ください。
日本代表メンバー
まずは日本代表のメンバーです。韓国代表戦と同様、3セットを組んで4人全員が交代するセット交代を実施しました。勝利が必要な試合で、拮抗することも予想されましたのでセット組をしないかと予想しておりましたが、突破した際に準々決勝で対戦が濃厚だったイラン戦も見据えた上での3セット回しだったのでしょう。
スターティング5
No | 氏名 | ポジション | 所属 |
2 | 黒本 ギレルメ | GK | しながわシティ |
11 | 安藤 良平 | FIXO | 名古屋オーシャンズ |
6 | 吉川 智貴 | ALA | 名古屋オーシャンズ |
12 | 甲斐 稜人 | ALA | 名古屋オーシャンズ |
9 | 平田 ネトアントニオマサノリ | PIVO | インダストリアス・サンタ・コロマ |
リザーブ
No | セット | 氏名 | ポジション | 所属 |
1 | – | ピレス・イゴール | GK | バルドラール浦安 |
4 | 2nd | 石田 健太郎 | FIXO | バルドラール浦安 |
10 | 2nd | 金澤 空 | ALA | 名古屋オーシャンズ |
8 | 2nd | 堤 優太 | ALA | しながわシティ |
14 | 2nd | 新井 裕生 | PIVO | しながわシティ |
3 | 3rd | 山田 凱斗 | FIXO | インテル・モビスターFS |
13 | 3rd | 長坂 拓海 | ALA | バルドラール浦安 |
7 | 3rd | 山中 翔斗 | ALA | ペスカドーラ町田 |
5 | 3rd | 仁部屋 和弘 | ALA | バサジィ大分 |
セット構成は韓国代表戦と同様、以下の通りになりました。
セット | Fixo | 左Ala | 右Ala | Pivo/Ala |
1st | 安藤 | 吉川 | 甲斐 | 平田 |
2nd | 石田 | 金澤 | 堤 | 新井 |
3rd | 山田 | 長坂 | 山中 | 仁部屋 |
各セットの戦い方
この試合も、基本となる「アルカ」を用いてボールホルダーに対する背中方向のマイナスサポートを作ってボールを保持して攻撃をすることをベースにしながら、各セットの個を活かすような戦い方を実施していました。
名古屋オーシャンズを中心とした1stセットは、韓国代表戦と同様、平田選手が前線でプレーする時間が増えた印象です。
立川(・府中)アスレティックFCを中心とした2ndセットは、新井選手を初期配置ではPivoの位置に配置しているものの、すぐに降りてきて最後尾でのプレス回避に参加します。4枚が流動的にボールを動きながら、ボール保持の時間非常に長くしたように思います。
3rdセットもプレス回避の時点では仁部屋選手を最前線に配置し、こちらも2ndセットと同様に仁部屋選手が降りてきてボール保持に参加します。また、相手コートに押し込んだ状態になれば、長坂選手が最前線のセグンドの位置、仁部屋選手が左サイド、山中選手が右サイドで仕掛け、山田選手がバランスを取るという構成にしていました。
木暮監督は、これまでやってきたことへのこだわりを少し捨て、各セットの特徴を活かしながら、ある程度各セットに任せる戦い方にシフトしたタジキスタン代表戦の戦いだったと思います。
GK活用への対抗
この試合で特徴的な対策としては、GK活用への対抗です。タジキスタン代表は積極的にGKを上げてプレーを試みました。これまでは日本代表は引いてブロックを組み、ダイヤの形で守ってきました。この試合では、ボックスの状態からGKにプレスをかけ、自陣に侵入させないようにしていたのが印象的です。さらに、最前線からプレスに行くのではなく、少し待ってから相手がハーフラインから5m程度に差し掛かったところでプレスをかけ始め、自分たちがプレスをかけることにより空けるスペースを最小限にすることでリスクも抑えようとしたと考えられます。
実際にこの方法により、GKはほとんど日本代表陣地に侵入することができず、大きなチャンスを作られることはありませんでした。非常に効果的な守り方であったと言えます。
パワープレー
この試合もキルギス代表戦と同様、パワープレーを実施しました。メンバーはキルギス代表戦のときと同様、吉川選手、石田選手、平田選手、新井選手、堤選手の5名です。左サイドで右利きの3人が旋回しながら、相手のズレを作り出すことができていました。
しかし、タジキスタン代表はコンパクトに守ってしっかりスライドしていましたのでなかなか良い状態でボールを持てず、シュートに持ち込む機会が少なかったように思います。それでもチャンスを作ったのはやはり右サイド、新井選手と堤選手のパス交換からチャンスを作るシーンがありました。とは言え、シュートの本数が少なく、前向きのアクションが少なかったように思います。そのためには、飛ばしのパスや多少外側からでもシュートを打つことが効果的だったのではないでしょうか。
左サイドで旋回しているため、相手もスライドして守ることになります。最も相手がずれるのは、左サイドの角です。
日本代表はこの左サイドの角を狙っていたと思いますが、なかなか相手のスライドに対応されてしまいました。
また、早くスライドしようとしたときに右サイドの角へ飛ばしのパスを入れることも有効です。
素早く左サイドの角にスライドしようとすると、逆の右サイド角のスライドが間に合わない可能性があります。旋回しながら、頂点に来た選手がそこを狙うことができれば、大きなチャンスになっていた可能性があると考えます。
また、当たり前ですが守備者にとって最も危険で注意しなければならないのはシュートを打たせないことです。多少強引にでもシュートを打つことにより、中央やボールに対する密集が作られます。そうすることで、味方に少しスペースを与えることができる場合があります。強烈なシュートを持つ堤選手や新井選手がもっとシュートを積極的に打てるように、例えば旋回しながら左Alaにいる選手が右Alaにいる新井選手または堤選手に飛ばしのパスをすることで、もっとシュートが増えた可能性はあると思います。
単調になったフィニッシュ局面
今大会を通しての課題とも言えますが、相手コートに押し込んだ後、どのようにシュートに持ち込むかという点が大きな課題だったと言えます。プレス回避により注力してきたこと、Pivoが最後尾まで降りてプレーすることが多くなったことにより、押し込んだ状態から効果的にシュートに持ち込むシーンが少なかったように思います。もちろん、特に後半は相手がブロックを組んで守備に注力してきたこともあり、簡単なことではありませんが、各選手がスタンディングになる傾向が強く、相手守備がコンパクトに守備をできたと考えいます。
特に気になったのはFixoの位置で、サイドで1対1を仕掛けているときにセンターレーンに留まっていたことで相手に動きがなかったように思います。逆サイドに仕掛けられる選手がいる場合は抜けて行ったり、自分が逆サイドで仕掛けられる状態であれば逆サイドに開いたり、Fixoのポジション調整によって少し1対1の選手のスペースの作り方、逆サイドに展開等、相手をより揺さぶることができた可能性はあると考えています。
まとめ
まさかのグループリーグ敗退となった日本代表、これまで取り組んできたことがなかなかうまく発揮できず、サッカー日本代表と同様にアジアでの戦いと世界での戦いの違いに苦しんだ大会になったように思います。
タジキスタン代表戦においてもなかなかうまくいかなかった、日本がやりたいことをやらせてもらえなかったように思います。日本を倒すためにしっかりと分析され、対策を講じられたことにより、日本が現在取り組む戦術はその相手を打開できるほど習熟できていなかったと言えます。
タジキスタン代表戦でも3セットでほぼ同じ時間の出場時間でプレーし、アルカを用いた主に右サイドのスペースを狙う攻撃を試みましたが、相手をなかなか引き出すことができず、前への力が出せない不完全燃焼の試合になった印象です。
まさかのグループリーグ敗退、W杯出場権獲得ならずということは非常にショッキングなことではありますが、次のW杯に向けて力を蓄えてほしいと思います。
今回は以上になります。次回は、今後の日本代表の進むべき方向性について考えてみたいと思います。
ありがとうございました!
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