#77 フットサル定位置攻撃のトレーニングメニュー Pivoを配置したプレス回避

定位置攻撃

みなさんこんにちは。

前回、定位置守備「プレス&カバーリング」に関するトレーニングメニュー案を紹介しました。

今回は定位置攻撃に関するトレーニングメニューを紹介したいと思います。ぜひご覧ください!

トレーニングの目的

まずは前回と同様、トレーニングの目的(達成したい成果)について確認しましょう。

今回の達成したい成果としては、「Pivoを配置したプレス回避」とします。相手がオールコートでのプレスをしてくるという想定で、その際にPivoを配置するシステムで対抗し、そのプレス回避のトレーニングという想定です。自チームにPivoの選手がいるという設定でのトレーニングとなります。

戦術的なプラン

達成したい成果は「Pivoを配置したプレス回避」です。主に2つのプレス回避方法を提示します。

1つ目はPivoにボールを配給してボールを前進させ、プレス回避を行うことです。いわゆるPivo当てという戦術を用い、Pivoが前線でターゲットとなる形です。

2つ目はスペースアタックでプレス回避を行うことです。Pivoのいないスペースを後方の3人がランニングして背後のスペースを狙っていく形です。

プレーをしながらこのどちらかの選択肢を活用し、プレスを回避していくことが戦術的なプランになります。

また、最後尾の3人についてですが、今回は2-1-1の配置を採用します。3-1や1-2-1の配置もあるとは思いますが、今回は2-1-1の配置でプレス回避を行うチームであるという設定です。2-1-1の配置からラインカット旋回を利用してプレス回避を行います。

TRメニュー案

これまでの説明で、達成したい成果を整理することができましたので、具体的なトレーニングメニュー案を説明します。ここではウォーミングアップのトレーニングは省略しています。

TR1 プレス回避パターン確認

TR1では、アナリティックにプレス回避のパターンを確認するトレーニングを行います。相手なしでプレス回避の選択肢の確認をし、最終的にはシュートまでつなげる形です。ゴールクリアランスやキックインからスタートし、初期配置は2-1-1とします。ここからラインカットや旋回を使いながらPivoの活用または背後のスペースアタックで前進を狙います。

実際のプレス回避の選択肢を紹介します。

オープニングでのPivo活用

まず最初に狙うべき選択肢は、クリアランス時のGK、キックイン時のキッカーから直接Pivoにパスを配給することです。

プレス回避のオープニングアクションにおいて、Pivoに配給できる状況であればまずはPivoを見ましょう。

Pivo活用

次はオープニング後のPivo活用です。まずボールを持った選手は常にPivoのパスラインを探すことが重要です。

サイドでパスを受けたとき

ラインカットした選手が中央でパスを受けたとき

飛ばしのパスを受けたとき

このように、どのタイミングでもPivoを狙う選択肢は頭に入れておくことが重要です。また、実際にPivoを活用するときにはワンタッチでパスができることが望ましいです。アナリティックトレーニングでそのあたりをコーチングできると良いと思います。

スペースアタック

次はスペースアタックです。ボールホルダーはPivoを狙う選択肢を常に持つことが望ましいですが、ボールを持っていない選手は背後のスペースにランニングすることが重要になります。そのタイミングや選択肢を確認しましょう。

ラインカットで侵入した選手とワンツー

逆サイドに飛ばしてラインカットした選手が背後へランニング

旋回時の背後へのランニング

このようなタイミングで背後のスペースアタックをする意識付けをアナリティックなトレーニングで習得しましょう。

TR2 3対3+Pivo2人+2GK、2ゴール

TR2は3対3に両チームPivoを1人ずつ配置したゲーム形式を行います。細かいルールは以下の通りです。

  • Pivoは最後尾に降りてきてプレス回避に参加することは禁止
  • オープニングはクリアランスまたは自陣でのキックイン
  • ピッチサイズは20m×30mで2つゴールを設置
  • ボールアウト時にはマイボールのチームからスタートし、得点時やゴールラインを出た場合はクリアランスから、サイドラインを出た場合は自陣10mの位置からのキックインとしてスタート
  • Pivoに配給するパスはワンタッチ

このトレーニングで重要になるのは、常にPivoへの配給を狙うということになります。もちろん、スペースアタックでの突破の可能なので、それを狙うことも何の問題もありません。ただし、Pivoへのパスラインがある状態を認識できていない場合や、パスを受けたときに前を見えていない場合はコーチングが必要になります。

TR3 3対3+2GK、2ゴール

TR3は先ほどのTR2からPivoを配置しないトレーニングです。ルールは基本的にはTR2と同様ですが、TR3ではPivoの配置がありませんのでPivoを活用したプレス回避はできません。ですので、背後へのスペースアタックによりプレス回避を狙うことが必要になります。

ここで重要になるのは、ボールを持っていない選手が背後へのランニングをすること、Pivoはいませんがパスを受けた選手は前を確認することです。スペースアタックでプレス回避を狙わなければなりませんので、まずは人が背後のスペースに走りこむことが必須です。TR1のアナリティックトレーニングで確認したタイミングで背後を狙えていない場合はコーチングすることが重要になります。

また、このトレーニングではPivoがいませんので、前を見る習慣はなくなってしまうかもしれません。それでも、試合中には基本的にPivoを前線に配置するシステムを採用する設定ですので、パスを受けたときには常に前を見ることは選手に求めるべきだと思います。

まずボールを持っている選手がPivo活用を狙いたいですが、当然難しい場合もありますので、その後スペースアタックを味方にパスをした後にスペースアタックを狙うようにしましょう。

TR4 ゲーム

最後はゲームです。基本的にはフルピッチでのゲームで良いと思います。ルールというほどでもないかもしれませんが、プレス回避のトレーニングになりますので選手にはオールコートでのプレスを行うこと、Pivoは降りてこずに最前線でプレーすることは求めた方が良いと思います。

ゲームなので過度に選手のプレーを制限する必要はないかもしれませんが、発展として以下のルール変更を参考にしていただければと思います。

自陣でのパス本数制限

自陣でパスの本数に制限を与えるということは、その本数以内に相手陣地にボールを侵入しなければなりません。そうなった場合にはテーマであるプレス回避の現象は出てくると思われます。ただし、前進するのが難しい状況であるにも関わらず前進しようとし、ボールを失うケースもあるかもしれません。それはゲームでどのような現象が出ているか(前進しようとしてミスが発生している、前進しようとせずボール保持の状況が続いている等)を見極めることが重要であると考えます。

背後を狙うパスはワンタッチのみ

Pivo当てやスペースアタックのどちらの場合も、パスで突破する場合はワンタッチとするルール変更です。ドリブルでの突破はフリータッチで構いません。これは守備に対して簡単にプレス回避ができている状況で、プレス回避での再構築を求める発展になります。例えばワンツーでパスを受けるために背後のスペースに走りこんだ選手がいましたが、その選手にパスを供給することができなかったとします。その場合にはワンツーを狙って背後にランニングした選手は次のサポートをしなければなりません。背後のスペースは狙いたいのですが、難しかった場合にはもう一度やり直す必要があります。そのトレーニングを含めた発展のトレーニングのイメージです。

まとめ

今回紹介しましたトレーニングメニューについておさらいします。

まず達成したい成果は、「Pivoを配置したプレス回避」です。Pivoを前線に配置し、2-1-1の初期配置からラインカットや旋回を用いたプレス回避の習得を目指します。実際の突破方法は、Pivo活用スペースアタックの2種類を用いてプレス回避を行います。

その中でTR1ではアナリティックに動きや狙いの確認、TR2ではPivo当てのパターンの確確認、TR3ではスペースアタックの狙いの確認、TR4ではゲームとしています。

プレス回避というテーマにおいて、TR1からTR4まで徐々に難易度を高くしていき、TR2とTR3では狙いのパターンをある程度制限した上で行っているものです。ゲームについてはチームや選手の習得状況や出ている現象に応じて発展のルールを追加することも検討していただければと思います。

それでは今回は以上になります。ありがとうございました!

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