#76 フットサル定位置守備のトレーニングメニュー プレス&カバーリング

定位置守備

みなさんこんにちは。

Fリーグが開幕し、最近は昨シーズンの試合やチーム、リーグの分析記事を記載してきました。これからはFリーグを中心に試合分析の記事を記載しながら、戦術やトレーニングメニューの記事も記載していきたいと考えています。

今回は、フットサルの定位置守備における、トレーニングメニューを解説したいと思います。ぜひご覧ください!

トレーニングの目的

まずトレーニングメニューを構築する上で最も重要なことは、トレーニングの目的(達成したい成果)を明確にすることです。詳しくは以下の記事に記載していますので、ご覧ください。

達成したい成果を明確にした後に、その現象が出るようなメニューやルール、ピッチサイズ等を考えていきます。今回は定位置守備がメインテーマとしてあり、その中で「プレス&カバーリング」を達成したい成果とします。

戦術的プランニング

トレーニングの目的(達成したい成果)は「プレス&カバーリング」と定めました。具体的な状況としては、自チームがオールコートでのマンツーマンでのプレッシングを行う際に、ボールホルダーへのプレスとそれを助けるカバーリングを整える状況です。実際にどのようなアクションを求めるのか、プレスとカバーリングの2つに状況を分けて解説します。

プレス

まずプレスですが、相手の自由を奪い、前方向のプレーをさせないことです。相手に触ることができる距離ということで、「ワンアーム」の距離と言われることもありますが、まずは相手との距離を詰めることが重要になります。サイドの選手がボールを持ったときに距離を詰めた中で前方向のパスやドリブルをさせず、後ろや横にドリブルやパスをさせるように誘導することが狙いです。

カバーリング

次にカバーリングですが、ボールホルダーに対してプレスがかけられてるかによって3通りのパターンがあります。

相手の自由を奪い、横または後ろ向きにプレーさせているとき

1つ目はサイドでのボールプレスがうまく機能し、相手の自由を奪った状態で横または後ろ方向にプレーさせている場合です。

このときはボールホルダーへのカバーリングは不要ですので、2枚目の守備者は自分がマークする相手選手にプレスを仕掛けられるように準備します。可能であればインターセプトしたい状況です。

中央方向に突破された場合

2つ目はボールホルダーへのプレスがうまく機能せず、中央方向に突破された場合です。

このときは1列目の2枚目の守備者が自分がマークしていた選手を見ながらボールホルダーの2枚に対応できるような位置取りをします。1枚目の守備者が素早く撤退することで守備陣形を整えます。

このとき、相手選手が高い位置を取った場合、2枚目の守備者が相手選手2人を見ることができない状況になります。そうなれば、パスが出されると違う選手が対応し、ペルムタをすることになります。ペルムタとは、ある選手がカバーリングで自分のマークを捨てた時に、他の守備者がスライドしてカバーリングする動きをペルムタとも言います。

縦方向に突破されたとき

3つ目はボールホルダーへのプレスがうまく機能せず、縦方向に突破された場合です。

このときは、2列目に位置する選手がカバーリングで対応し、1列目の2枚目の守備者はカバーリングのカバーリングをします。そして突破された1列目1枚目の守備者もスライドし、守備陣形を回復します。縦に突破されたときには、3人が素早くペルムタをすることで守備陣形を整え、再度ボールプレスを仕掛けられるようにします。

TRメニュー案

これまでの説明で、達成したい成果を整理することができましたので、具体的なトレーニングメニュー案を提示しようと思います。

ここではウォーミングアップやシュートのトレーニングは省略しています。

TR1 1対1

TR1では1対1を行います。ここで求めたいことは、ボールホルダーへのプレスです。具体的には、前方向へ運ばせないこと、可能であればボールを奪うことです。

グリットのサイズは10m×10m、縦を2分割する中央のラインを作ります。このライン上のどちらか一方のサイドから攻撃側がスタートし、グリットの横のライン上の位置からスタートします。

逆サイドにいるサーバーから攻撃側の選手にパスがされた後に守備はプレスを開始します。このとき、攻撃側は赤で示すラインを突破すれば得点とします。逆サイドからスタートの場合は、縦のゴールラインが逆サイドに移ります。

TRのルールを確認します。攻撃側は1対1でドリブル突破を目指し、対応する守備側は突破させずにボールを奪うまたは前方向に運ばせないことを目指します。ここでのポイントとしては、まずはボールホルダーとの距離を詰めること、相手の自由を奪い、後ろ向きのアクションをさせることです。定位置守備における「プレス&カバーリング」はそもそもプレスが機能すればカバーリングは不必要になるケースが多くあります。まずは1対1で負けないということを意識させることが重要です。

TR2 2対2+2GK、2ゴール

TR2では2対2を2つのゴールを設置して行います。ここで求めたいことは、TR1で実施したボールホルダーへのプレスと、2人目の守備者のカバーリングについてです。

攻撃側に縦に突破された場合のカバーリングは難しいですが、中央方向に運ばれてしまったときには2人目の守備者が自分のマークをケアしながらカバーリングをすることが求められます。なお、当初の目的においては、オールコートでのプレッシングでの現象を出そうとしています。守るゴールが近くなっており、そこにはリアリティはなくなっているかもしれませんが、プレス&カバーリングの考え方は大きくは違わないと考えています。

ピッチサイズは20m×20mのピッチで、ゴールを2つ設置します。

ルールとしては、ボールアウト時にはマイボールのGKからのクリアランススタートとします。かなり高い強度を求めたいので、時間は1分程度くらいで良いと思います。あまり長くするとボールへのプレスがかからなくなる可能性があります。そうなると達成したい成果が得られませんので、プレータイムは選手のレベルを見ながら調整しましょう。

ここでのポイントは、ボールホルダーへのプレスで相手の自由を奪うこと、ボールホルダーの自由を奪えた状態であれば2人目の守備者がプレスの準備をすること、中央方向に運ばれたときには2人目の守備者がカバーリングすることです。ボールホルダーに対するプレーと、その状況に応じた2人目のリアクションを新たに求めています。その状況をしっかり見てコーチングしましょう。

TR3 3対3+2GK、2ゴール

TR3では、3対3を2つのゴールを設置して行います。ここで求めたいことは、TR2までで実施した内容に加えて、縦方向に突破された際のカバーリングです。ボールがサイドにある際には、逆サイドにいる相手をマークしている守備者は少し絞った位置を取ります。そうすることで万が一縦方向に突破されたときにカバーリングできるようにします。縦方向への突破に対して2列目の選手がカバーに出た際には1列目の2人がペルムタでスライドし、守備陣形を整えましょう。

ピッチサイズは20m×30mでゴールを2つ設置します。

ボールアウト時には全てマイボールチームのゴールクリアランスからスタートします。サイドの選手にパスが出た場合には、逆サイドにいる相手選手をマークしている選手は中央まで絞ってカバーリングができる準備をします。

縦方向に突破された際には、2列目の選手がカバーリングに出て、そして1列目の2人はペルムタします。

もちろん、中央方向に突破された際には、TR2と同様に1列目の2枚目の選手が横のカバーリングを行います。ベースはマンツーマンディフェンスなので、まずはボールへのプレスと自分のマークへのプレスの準備をすることはもちろんですので、自分のマークに自由にさせないことが最も重要です。それでも突破される可能性がありますので、縦方向にも中央方向にもカバーリングの準備をしておくことをコーチングしましょう。

TR4 4対4+2GK+フリーマン、2ゴール

TR4はゲーム形式のトレーニングになります。ここではフリーマンを置くゲーム形式にしていますが、通常のゲームを行っても良いとは思います。

今回はフリーマンを置くものを説明します。ピッチサイズは20m×40mの通常ピッチ、ゴールも正規の通り2つ設置します。FP4対4のゲームを行うのですが、自陣のサイドラインにフリーマンを1人配置します。

フリーマンにパスをする条件は特になくフリーマンにパスをした選手はサイドラインに移動してフリーマンになります。いろんな状況が生まれることになりますが、フリーマンにパスをされた場合、そのフリーマンはマークがいない状況になっていますので、カバーリングとペルムタで守備陣形を整える必要があります。

フリーマンにパスがされた状況は、相手の突破された状況が想定されます。また、フリーマンへのパスを切ろうとして中央方向へ突破される場合もあります。局面は5対4になり数的不利になりますのでどうしても全てに対応し切ることが難しい場合もありますので、カバーリングとペルムタのトレーニングにはなると思います。ただし、最も重要なことはボールにプレスをかけ、相手の自由を奪うことです。ボールホルダーの自由を奪うことができれば相手のプレーを制限できるためフリーマンの効果を減らすことができます。まずはボールへのプレッシャーを強めること、それでも突破された場合のカバーリングをすることのコーチングが必要になります。

まとめ

今回はフットサル定位置守備、オールコートプレス時における「プレス&カバーリング」を達成するためのトレーニングメニューを解説しました。まずはボールホルダーに対峙する選手が相手の自由を奪うプレスができるかが重要であるため、TR1やTR2では特にその点をフォーカスすることをイメージしています。TRが進むにつれてカバーリングをしなければならない状況を作り、中央と縦のカバーリングが必要な状況をルール設定により作り出しています。

チームの状況によっては違うルールを適用した方が良い場合もあるので、あくまで参考にしていただければと思います。

それでは今回は以上になります。ありがとうございました!

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